社労士コラム

ワーク・ライフ・バランスについて(3)   [2012.10.09]

   では、前回お話ししたようなワーク・ライフ・バランス状態をどのようにして作り上げていくかですが、その前に現在、ワーク・ライフ・バランス的に優秀とされている事例(企業)とはどのようなものかを何回かにわたって、お話しします。

1.ワーク・ライフ・バランス大賞
   (財)日本生産性本部内にある「ワーク・ライフ・バランス推進会議」が「ワーク・ライフ・
バランス大賞
」を2007年に創設し、ワーク・ライフ・バランスの推進において効果があらわれ、他の範となる取組みを表彰しています。
    表彰された企業には、2011年の大賞であった日本アイ・ビー・エムのような大企業から2007年の優秀賞であったカミテ(秋田県)のように従業員が31名の企業までがあります。
    ここでは、従業員50人以下の企業の例(3社)についてご紹介します。まず、本日は、上記の株式会社 カミテの例についてご紹介します。

2.【組織内活動 優秀賞】 株式会社 カミテの例
  
1)会社の概要
    所在地:秋田県
    従業員数:31人
    業種:製造業(金型製作、プレス加工)


2)取組みの概要
①休業制度、特別休暇制度の充実
 <休業制度の概要>
   ・育児休業制度、育児短時間勤務
        休業期間は子の3 歳の誕生日の前日まで
        休業期間に情報提供、復帰後に職場復帰直後講習を実施
    ・介護休業制度、介護短時間勤務
         休業期間は93 日であるが、取得回数の制限なし
         休業期間に情報提供、復帰後に職場復帰直後講習を実施
  <特別休暇制度の概要>
    ・妊娠特別有休制度
         妊産婦の通院について5 日間(40 時間)の有給休暇を与える
    ・配偶者特別有休制度
         配偶者が出産する男性社員について、すでに制定されている出産時2 日の有給休暇に
         加え、妊娠中より子1 人につき5 日間(40 時間)の有給休暇を与える
     ・看護休暇制度
         子供の健診及び予防接種、子供の病気の時に利用可能
         0 歳~小学校就学前:子1 人につき年5 日(40 時間)
         小学校~高校卒業前:従業員1 人につき年3 日(24 時間)

②事業所内託児所の設置

③特徴的な取組み
    ・育児休業等による欠員をカバーするため、日常的に複数の業務を担当させるなど、社員の
      多能工化に力をいれ、現在では業務部門と製造現場間でも仕事のやりくりが可能となって
      いる。
    ・男女に関わりなく実力を発揮できる制度づくりと、子育て期を過ぎた社員にも配慮した介
     護休業とセットの施策など、家庭生活との両立を老若男女を問わず実現できる制度として
     いること。
    ・年に3~4 回の個人面談により、職場の人間関係や意見をヒアリングし、制度のチェックを
      行うとともに本当に使える制度に進化させている。事業所内託児所もこのヒアリングによ
      る意見から実現した。


3)ワーク・ライフ・バランス推進に取組んだ経緯、理由
    ・少数精鋭主義により、一から育てた従業員に育児や介護で辞められるのは、会社の損失と
     考えたため。

    ・従業員の育児や介護による精神的肉体的負担を軽減することにより、勤務中は能力を充分
      発揮してもらいたい。

    ・ワーク・ライフ・バランスは、従業員の希望するところであり、それに応える事により、
      士気を高めたい。

    ・男性の育児休業のメリットとしては、業務を見直す機会、若手の人材育成のチャンス、管
     理職になるための経験、安定した家庭をつくる第1 歩、効率的に仕事をするようになるこ
     となどが挙げられる。


4) 取組みによる具体的効果
    優秀な従業員が辞めずにすみ、士気が上がった結果、下記のとおりの効果があった。
     ・不良流出率 1,000ppm から3ppm へ減少
     ・小規模企業ながらISO9001、ISO14001 やソニー、キヤノンの環境認定を取得することが
      できた。
     ・平成12 年度に「働く女性支援優良企業」(秋田県)、13 年度にはファミリー・フレンドリー
      企業表彰の「厚生労働大臣努力賞」を受賞した他、17 年度には、「男女イキイキ職場宣言
      事業所」(秋田県)となっている。
    ・次世代法では、平成17 年度に一般事業主行動計画を策定、届出し、19 年には、東北では
      第1 号となる国の認定を受け、くるみんマークを取得している。
    ・男性の育児休業に対して企業及び本人に奨励金を支給している、秋田県「お父さんも育休
      促進事業」(平成16 年度~)において、事例第1 号となった。

   感想
      従業員の定着に大きな効果があったようです。
   「子育て期を過ぎた社員にも配慮した介護休業とセットの施策など、家庭生活との両立を老若男女
    を問わず実現できる制度としている。」ことは大いに参考にすべきと思います。
      一部の世代だけの施策ですと結局、他の世代にしわ寄せがくるためにうまく行かなくなることが
   予想されますが、広い世代を視野にいれた施策であり、「おたがいさま」の気持ちが生じて、
   うまくいっているのではと思いました。
      私は、この「おたがいさまと職場の仲間が思うことこそがワーク・ライフ・バランスを実現する
   重要なポイントだと思っています。 

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