社労士コラム

ワーク・ライフ・バランスについて(6)   [2012.10.15]

   佐藤教授*1他によれば、ワーク・ライフ・バランスも実現には次の3つの取組みが必要とされています。   *1:佐藤博樹、武石恵美子「職場のワーク・ライフ・バランス」日経文庫

   第1 仕事管理や時間管理にかかわる職場マネジメント
   第2 ワーク・ライフ・バランス支援にかかわる両立支援制度への取組み
   第3 多様な価値観やライフスタイルの社員を受容できる職場風土作り

   そして、この3つの取組みを家に例えて、第1の取組みは1階部分、第2の取組みが2階部分、最後の第3の取組みが土台部分に相当するとされています。私も全く同感です。

   佐藤教授も言っておられますが、よく見られるのは、1階部分より下が不十分のまま、2階部分のみ、つまり両立支援の制度を形式的に整えてワーク・ライフ・バランス支援は十分だと自己満足されているケースです。
   確かに、外から見るとワーク・ライフ・バランスに関して優れた企業と評価されるかも知れませんが、土台部分と1階部分が不十分ですので、実質が伴っておらず、制度が有効に活用されないのです。
   このような場合、例えば、育児で一時職場を離脱し、復帰した時に職場の上司や同僚からの支援が受け難く、オーバワークとなり仕事と子育ての両立が困難となり、結局、離職したり、または早期に復帰したかったにもかかわらず仕方なしに育児休業を長期に活用することで対応せざる得なくなるのです。
   結果として、本人にも企業にとってもデメリットとなります。

   このように重要なのは、1階部分、更には土台部分です。

   このシリーズの(3)~(5)では、優れたワーク・ライフ・バランスの例を紹介しましたが、ワーク・ライフ・バランスの施策(両立支援の施策)にのみ着目して欲しくはありませんでした。確かに、これも重要ですが、むしろ、汲み取って頂きかったのは、土台部分や1階部分の充実がどのように行われていたかです
拾い上げれば、次のようなものです。

株式会社 カミテ
・育児休業等による欠員をカバーするために日常的に複数の業務を担当させ、多能工化に注力
・子育て期を過ぎた社員にも配慮した介護休業とセットの施策など、家庭生活との両立を老若男女を
  問わず実現できる制度とした。
・個人面談により職場の人間関係や意見をヒアリングし、制度の進化を計る。
・男性にも育児休業を与えることによって、次を期待した。
  ① 業務を見直す機会   ②若手人材育成のチャンス 
  ③ワーク・ライフ・バランスを支援できる管理職になるための経験

株式会社 長岡塗装店
・育児にだけ特化するのではなく、様々な年齢・立場の社員に配慮した。例えば、保育料の一部を
 負担する制度を新設する際には、年配社員が介護が必要になった場合も同じように介護料の一部
 を負担する。
 「公平感」に気を使った

有限会社 COCO-RO
・年1回の全員参加の研修でワーク・ライフ・バランスを含めた経営理念・就業規則等の説明を行い、
  従業員に「おたがいさま」の風土を根付かせた。
・管理者向けの研修を経営者がリーダとなって行った。

   共通するのは、一部の世代だけの施策だと結局、他の世代にしわ寄せがくるためにうまく行かなくなることが予想され、広い世代を視野にいれた施策を行い、「おたがいさま」の気持ちが生じる風土を作り上げられていることです。
   私は、この「おたがいさまと職場の仲間が思うことこそがワーク・ライフ・バランスを実現する
重要なポイントだと思っています。そのためには、制度の対象範囲を広くとることが重要です。

   誰かが育児休業を取った場合、もし、両立支援制度の対象が子育てだけであったとすると年配の社員などは自分は関係ないと考える従業員が大半を占め、その人たちは、口に出すにしろ、出さないにしろ「なぜ、育児休業を取った人の仕事を自分がカバーしなければならないのか。」と思います。
   そして、当人が復帰すると・・・・。

 

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