社労士コラム

老齢年金の「損・得」世代別試算について   [2013.01.18]

最近の年金に係る法改正の動きの中で、生涯支払う年金保険料総額と、老後にもらえる年金の受給額総額を比較した生涯収支の試算が注目を集めています。

2012年2月に、「国民年金や厚生年金などの公的年金をもらえる額から支払った額を差し引いた生涯収支を世代間で比べると、50歳代半ば以下の世代で払いの方が多くなる」
という試算が報道されました。

ここでは、報道された年金試算の概要・注意点を説明します。


【試算をしたのは誰か】
内閣府経済社会総合研究所というシンクタンクの所属研究者が公表した学術論文中の試算であり、内閣府の正式な見解を示すものではないとのことです

【どのような条件での試算か】
試算では現行制度の国民、厚生、共済の各年金を対象に、1人あたりの「保険料支払額(企業負担含む)」と「年金受取額」を5歳刻みで算出しています。

物価上昇率を年1%程度、年金積立金の名目運用利回りを4%とした試算を「標準ケース」とし、将来の支払額と受取額を現在の価値に引き戻して調整しています。

【試算結果表】
この試算では、1955年以降に生まれた人=55歳未満の人(2010年現在)は、将来の純受益(年金受給額?生涯保険料)がマイナスになることになります。

【注意点】
これだけを見れば、年金制度不安を煽るだけのように見えなくもないですが、この試算結果を見る上では以下の三つの点で注意が必要です。

① 男女差を考慮していない
(3号被保険者=サラリーマンの妻などについては生涯収支はプラスになる試算結果が出ています)

② 加入保険は職種により異なる
(公費負担の大きい1号被保険者=自営業者などは生涯収支はプラスになる試算結果となっています)

③ 障害年金については、収支の計算に含まれていない


「世代間扶養」という年金の制度設計概念と、この「損得勘定」の考え方はそもそも合わないものですが、職種間や性別間の格差など、制度構造上の検討課題が浮き彫りとなっているとも言えます。

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