社労士コラム

残業代をめぐるトラブルの防止策(1)   [2012.08.18]

退職した労働者からの未払い残業代は、予期せぬ一般管理費の増加をもたらし、会社の収益にダイレクトに影響します。

そればかりでなく、折衝や裁判などにかかる時間的・精神的コストをも併発させるため、経営者や労務管理担当者の頭を悩ませる問題となります。


【株式会社 G社の例】

平成23年1月、前月末日付で退職した社員Aから内容証明郵便が届きました。
過去2年間の未払残業代合計250万円を支払うよう求めた内容のものでした。

指定期日までに支払わない場合、公的機関に訴え出る旨記載されています。

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業種:システム開発業
従業員数:10名
年間総人件費:3,000万円

勤怠管理:出勤時間、退勤時間を記入しない押印型出勤簿
所定の勤務時間:9時~18時(8時間)、月あたり平均20日の出勤日

残業状況:社員によってまちまちだが、概ねの社員が恒常的に一日3時間程度の残業あり
残業代に関する説明:雇用契約書はなく、採用時に口頭にて「残業代は給与に含まれる」旨を伝達

社員Aの給与:基本給20万円、職務手当2万円、通勤手当月額1万円、在籍期間3年
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【社員Aの主張は正当なのか?】

<勤怠管理の側面>
社員Aの主張の正当性を確かめるためには、まずは実際の残業時間を把握する必要があります。

この会社では「出」「欠」の印を押印する簡易的な勤怠管理をしており、残業時間をそこから読み取ることはできません。

だからといって会社は「相手の主張には根拠がない」と決めつけることもできません。
なぜなら、出勤簿以外にも、「パソコンのログアウト時刻」や「帰宅時間に関する本人や家族の主張・メモ書きなど」も場合によっては証拠能力があるとみなされるからです。

<残業代に関する説明の側面>
この会社では、残業代は給与に含まれる旨口頭で説明していたに過ぎず、雇用契約書や給与明細書上に残業を支払った記載がありませんので、残業代が給与に含まれていることを主張するには十分でありません。

<2年遡及請求の側面>
賃金債権の請求時効は2年と定められていますので、法的根拠があります。


【計算根拠】
以上のことから、仮に社員Aの1日の残業時間が平均3時間だと仮定して
過去2年の残業代を計算すると以下のようになります。

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総残業時間:3時間×月20日×24ヶ月=1,440時間
残業の単価:約1,719円
残業代総計:2,475,360円
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社員Aの主張は、概ねこのような計算根拠を持っていると予想されます。


【会社は何をポイントに対策すべきか】

250万円と言えば、株式会社Yの年間人件費の実に8.3%に当たります。

その8.3%増は、「それが生産的な残業であったか」を問わずに会社にのしかかってきます。

会社側が行うべき対策として、「残業代リスク診断」を活用し、
まずは自社でのリスクポイントを整理しましょう。

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