社労士コラム

残業時間削減のアプローチ(7)   [2012.09.16]

残業時間削減のアプローチ、全21項目の内、第6項目について説明します。


1年単位の変形労働時間制

1.目的 
   この制度は、季節等によって繁閑の差がある業務について、労働時間を弾力的に運用することにより労働時間の効率的な配分が行えます。この制度によっても残業時間の削減が可能です。 
   ただし、1年間という長丁場(実際には、1ヵ月を超え1年以内ですが)ですので、労働日・労働時間に詳細な ”しばり” があります。 
   注:対象期間が1ヵ月を超え1年以内ですので、実際は、1ヵ月超単位の変形労働制と言えないこともありません

   例えば、取引先との関係で、年に2回、9月と3月に業務が集中している場合には、この時間制を導入することで残業を削減できます。 
   例えば、業務が集中する繁忙期の9月と3月の所定労働時間を長く設定して、閑散期には所定労働時間を短くするのです。

2.採用の要件 
   この制度では、次の要件を満たすことにより、労使協定等により予め特定された週又は特定された日において法定労働時間を超えて労働させることができます

①形式:

必ず、労使協定
の締結が必要です。 
   労使協定は、労働基準監督署長に届けなければなりません

②変形期間:
1ヵ月を超え1年以内の期間

③労働時間の特定 
   対象期間の1週間平均の労働時間が40時間を超えない範囲内において、対象期間における各日、各週の労働時間(所定労働時間)を特定する。

注1:法定労働時間は、必ず週40時間です。
       特例対象事業(6月11日記事)であっても週40時間ですので注意してください
注2:「法定労働時間の総枠」、「時間外労働となる時間」の考え方は、昨日の1ヵ月単位変形
       労働時間制と同様です。

3.労使協定又は就業規則等に定める事項

①対象期間の長さとその起算日
   1ヵ月を超え1年以内です。3ヵ月単位、6ヵ月単位も可能です。
②対象となる労働者の範囲
   次のものは、適用除外。
   ・満18歳未満の年少者(ただし、満15歳年度末~満18歳未満の年少者は、週に48時間、
    日に8時間を超えない限り適用可)

   ・妊産婦等が請求した場合 

   また、育児を行う者、介護を行う者、職業訓練又は教育を受ける者等については、育児等に必要な時間を確保できるようにする配慮義務があります。 
   なお、対象労働者の範囲を明確にすれば、一つの事業場で複数の1年単位変形労働時間制が行えます。ただし、各々に労使協定の締結・届出が必要です。

③特定期間
   対象期間中の特に業務が繁忙な期間をいいます。
   この期間では、連続労働日数の限度が緩和されます。

④対象期間における労働日及びその労働日ごとの労働時間
原則:全期間の労働日と各労働日の労働時間の特定が必要。 
        ただし、対象期間を一定期間で区分すれば、例外的取扱いも認められます

⑤労使協定の場合の有効期間
    有効期間は、1年程度が望ましい とされています。

4.労働日及び労働日ごとの労働時間の特定 
   原則として、あらかじめ全対象期間について労働日と労働日ごとの労働時間の特定が必要です。
   ただし、最長で1年の全対象期間について、詳細な定めをすることは困難ですので、、対象期間を1ヵ月以上の期間ごとに区分する場合、次の例外的取扱い が認められます。
①区分された最初の期間 
   原則
どおり、その期間中の労働日及びその労働日ごとの労働時間を定める。
②上の最初の期間以降の各期間 
   当初は、各期間の労働日数及び総労働時間のみ を定めれば足りる。

具体的な労働日及び労働日ごとの労働時間については、各期間の少なくとも30日前に、当該事業場の過半数の労働者で組織する労働組合(ない場合は労働者の過半数代表者)の同意を得て、書面により特定しなければなりません。


5.労働日数・労働時間等の限度 
   1年単位の変形労働時間制では、対象期間が最長1年となることから、労働日数・労働時間等に様々な限度が設けられています。
(1)対象期間における労働日数の限度 
   ①対象期間が3カ月を超える場合:1年あたり280日 
   ②対象期間が3カ月以内の場合:特別な限度なし。
(2)連続労働日数の限度 
   ①原則:6日 
   ②特定期間:1週間に1日の休日が確保できる日数。
                    したがって、最長で連続12日となります。
(3)労働時間の限度
①共通する限度
    1日について10時間、1週間について52時間
②対象期間が3カ月を超える場合
    上記①に加え、次のア及びイを満足させなければなりません。

   ア 対象期間全体を通じて、労働時間が48時間を超える週数が連続して3以下であること。 
    イ 対象期間の初日から3カ月ごとに区分した各期間において、労働時間が48時間を
        超える週の初日の数が3以下


③一定の労働者に係る特例(暫定措置) 
   ア 積雪地域の建設業の屋外労働者等対象期間が3カ月を超える場合でも、1日10時間、
       1週間52時間が上限。 
   イ 隔日勤務のタクシーの運転手:1日16時間、1週間52時間が上限。

6.時間外労働の限度時間
   1年単位の変形労働時間制は、あらかじめ、業務の繁閑を見込んで、それに合わせて
 労働時間を分配していますので、突発的なものを除き、恒常的な時間外労働はない
  ことを前提としています

   したがって、この制度を採用した場合には、極力時間外労働がないようにすることが
 必要
であり、時間外労働に関する協定を締結する際にも、この点が十分に考慮することが
 望まれています。
   1年単位の変形労働時間制については、 特別な時間外労働に関する限度基準(下表)を
 順守
する必要があります。(ただし、対象期間が3ヵ月を超える場合。)
期間 限度時間
1週間 14時間
2週間 25時間
4週間 40時間
1ヵ月 42時間
2ヵ月 75時間
3ヵ月 110時間
1年間 320時間

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