社労士コラム

公的年金:頭に入れておいて欲しい事項   [ 2013.02.27 ]

今日は、公的年金(国民年金、厚生保険年金など)への誤解から将来に大きな痛手を受けることがないように何点かお話します。

 

1.「アテにならない公的年金の保険料を払うより、自分で老後資金を貯めた方が良い」

確かに、このような見方が正しい場合もあるかも知れませんが、将来に大きな痛手を受ける可能性の方が大きいと私は考えます。
それは、公的年金の持つ2つのメリットがあるからです。

一つは、公的年金の老齢年金には、預貯金や民間の年金にはないインフレヘッジ(インフレ下では利子が物価上昇率に追いつかない=貨幣価値が下落することへの対策)機能があることです。

二つ目は、万一の死亡や障害といった場合にも保障、すなわち遺族年金障害年金があることです。

このあたりの詳細は、先日(2013.02.15)の記事「いろいろあっても公的年金がお得な理由」をお読みください。 「 」内の記事名をクリックすると別ウインドウで、記事が表示されます。

2.「やがて就職して厚生年金に入るから国民年金に加入なんかしない」

就職して1年後までに万一のことが無ければ、そのとおりです。
しかし、就職前また就職して1年後までに何らかの傷病で障害が残った場合に問題となります。

障害の公的年金が受給できる条件は次の3つの条件が満たされることです。
若者に限定し、一部、省略した記載です。

就職前(国民年金での条件)
(1)初診日要件:被保険者であること
(2)障害認定日要件:初診日から1年6ヵ月を経過した日に障害等級に該当する程度の障害にある。
(3)保険料納付要件
  原則-----初診日の前々月までに被保険者期間がある場合には、その被保険者期間のうち
        保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が2/3以上あること。

  特例-----初診日が平成28年4月1日前の特例。
        初診日の前々月までの1年間に保険料未納期間がないこと。
        すなわち、1年間は保険料を完全に納付していること。

就職後(厚生年金保険での条件)
厚生年金保険での障害給付が受給できる3条件は、それが国民年金の障害給付の2階部分の年金であることから上記の基礎年金の要件と全く同じなのです。
多くの人が誤解しているのは、「厚生年金と国民年金とは独立であり、厚生年金の給付要件は、国民年金のものとは別にある」との思い込みです。

このことから就職するまでに、少なくとも直近の1年間国民年金に加入しないと、
1)就職するまでに初診日がある場合、万一、障害が残っても障害給付が貰えないことは、もちろん
2)就職しても就職後1年間は、万一、障害が残っても障害給付が貰えないのです。

将来に厚生年金が貰える予定であっても20歳を過ぎたら国民年金の加入手続きを忘れないことが重要です。

 

3.「厚生年金は保険料の納付額と納付した年数に応じてだけで年金額が決まり、
   国民年金のように受給資格期間を満たす必要はない」


この誤解の根底にあるものは、前述の「厚生年金と国民年金とは独立であり、厚生年金の給付要件は、国民年金のものとは別にある」との誤解です

2項で説明のように厚生年金の老齢給付は、国民年金の老齢給付の2階部分の年金であることから国民年金の受給資格期間を満たす必要があり、つまり原則的には、国民年金と厚生年金の期間を通じて、「保険料納付済期間+保険料免除期間」が25年以上ないと国民年金も厚生年金も共に、老齢給付が貰えないのです

「余裕ができた時にまとめて納付すれば、良い」と思われる方もおられますが、原則は、時効である前2年間の期間しか後納できないのです。つまり、間に合わない場合もあるのです。
(ただし、平成24年10月から平成27年9月までの3年間に限り、過去10年分まで納めることができる制度があり、この後納制度を利用することで、納付した期間が不足して年金を受給できなかった方が年金受給資格を得られる場合があります。対象の方は活用すべきです。)

以上のことから繰り返しになりますが、20歳を過ぎたら国民年金の加入手続きを忘れないことが重要です。
      

公的年金で不安な点に関して、アドバイスします。連絡をお待ちしています。

平成24年の労働災害の動向について   [ 2013.02.26 ]

厚生労働省がこのほど、平成24年の労働災害の動向を公表しました。(平成25年2月25日)

その結果では、平成24年の労働災害による死傷者数は11万4,458人で、前年比2,266人、縮小はしているものの2.0%の増加で、平成22年から3年連続の増加となりました。

次の表に産業別の推移をまとめて見ました。

平成22年 平成23年 平成24年
死傷者数
(人)
死亡者数
(人)
死傷者数
(人)
死亡者数
(人)
死傷者数
(人)
死亡者数
(人)
全産業計 111,707 1,143 112,192 980 114,458 1,046
うち製造業 27,644 198 27,207 175 27,219 188
うち建設業 15,546 357 16,058 333 16,449 362
うち陸上貨物
運送事業
13,334 148 13,227 123 13,375 129
うち第3次産業 46,679 301 47,380 241 49,199 277

労働災害と言ったら建設業、製造業の割合が高いと思われがちですが、表から、死傷者数、死亡者数共に第3次産業の割合が高いことに目を引きます。

増加率も最も高いようですので、この第3次産業での増加抑制が重要と思われました。

社会保険算定基礎届について   [ 2013.02.23 ]

社会保険の保険料を年1回決め直す「算定基礎届」の提出時期は、7月ですが、その基礎となる給与は4月~6月ですので、4月以降の給与を計画する今の時期に「算定基礎届」にまつわる事項を確認しましょう。

社会保険料決定の「からくり」とは?

1.はじめに

社会保険に加入している企集は、毎年7月10日までに「算定基礎届」を提出しなければなりません。

ここでは、算定基礎届にまつわる事項の概説、ならびに社会保険料の節減について解説をします。

2.前提としての社会保険のルール

1)社会保険の被保険者資格期間は「月単位で」管理されている。

2)被保険者の報酬額は「切りのいい数字=等級で」管理されている。

3)被保険者の報酬額は、原則として年1回見直す。

①社会保険は「月単位で」加入することになっており、「加入日の属する月から、喪失日(退職日等の翌日)の前月まで」が被保険者期間となります。
例えば、月末入社でも1ヵ月分、月末退職でもその退職月分の保険料がかかることになります。

②また、報酬額は1円単位で細かく管理せず、「20万円」「22万円」 「32万円」のように切りのいい数字(報酬月額といいます)で記録されます。
(この額が「将来の年金計算」「傷病手当金などの給付額計算」「保険料計算」の基礎となります。)

③さらに、毎月の給与額多少変動しても、社会保険上の報酬額=標準報酬月額は長期として1年間変えないことになっています。
一回決定したら、大きな変動がなければ継続します。

毎年7月10日に提出する「算定基礎届」とは、この「年一回の保険料の見直し決定を届け出るための書類」です。

 

3.算定基礎届の考え方

1)4月~6月の給与額を平均して新しい標準報酬月額を決定する

2)新しい標準報酬月額は、9月分以降に反映させる

3)平均計算に加えることがふさわしくない月の給与は、上記の1)の計算から除く

① この4月~6月とは、「支払月」単位で考えます。
3月分給与を4月10日に支払うとすれば、算定基礎届上はそれが4月分の給与となります。
また、給与には残業代やその他手当も含めて計算します。

②  ①により計算された新しい等級は9月以降に反映させます。

③ 具体的には支払基礎日数が17日未満の月を平均計算から除きます。
     これは、(欠勤控除等の)イレギュラーな事案のために、標準報酬月額が実際より低くなってしまう
     ことを防ぐためです。

 

4.社会保険料を節約するためには

社会保険料節減のためには、前述のルールから逆に考えて「等級の差を利用する(2-2))」か、「4 月~6 月の平均給与額を低く抑える(3-1))」という方法等が検討できます。

【2-2)等級差】
標準報酬20万円と22万円の差は、給与額で209,999円と210,000円の差ですから、等級の境目にある方については、例えばたった100円の昇給・手当付与の差が1等級の変化につながることもあります。

【3-1)平均給与】
4-6月の給与を低く抑える方法としては、「昇給時期を変える」「残業を抑制する」などがあります。

国民年金の被保険者の種類について   [ 2013.02.13 ]

日本国内に住んでいる20歳以上60歳未満の人は、国籍に関係なく全員国民年金に加入することになっています。
(強制加入)国民年金の被保険者には、どのような種類があるのでしょうか。

【年金の仕組み】
加入者は第1号~第3号の3つに種別され、それぞれ保険料やもらう年金の種類が異なります。
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<第1号被保険者>
対象者は、日本国内に住んでいる20歳以上60歳未満の人で、第2号・第3号被保険者に該当しないすべての人です。

  • 自営業者、その配偶者
  • 学生農林漁業者
  • 国会議員
  • フリーター
  • 無職の人

保険料は、直接社会保険庁に納めます。
なお、手続きは各市区町村で行います。
貰える年金は、国民年金のみです。
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<第2号被保険者>
対象者は、厚生年金または共済年金に加入している人です。

  • サラリーマン、OL
  • 公務員
  • 私立学校の教職員

保険料は、毎月給与から天引きされる厚生年金保険料に含まれています。
貰える年金は国民年金+厚生年金(共済年金)です。
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<第3号被保険者>
対象者は、被保険者に扶養されている配偶者で、20歳以上60歳未満の人です。

  • サラリーマンの妻(専業主婦)もしくは夫(専業主夫)

保険料は「タダ」です。
配偶者の保険料に上乗せされているわけではなく、配偶者が加入している厚生年金や共済組合が負担するので、自分で保険料を納める必要がありません。
貰える年金は、第3号被保険者であった期間分です。

[第3号被保険者の要件]
第3被保険者とは「第2号被保険者に扶養されている配偶者」で被扶養配偶者といいます。
被扶養配偶者と認められるには第二被保険者(配偶者)の収入で生活をし、年収が130万円未満であるという条件があります。

なお、ここで言う配偶者には、事実婚(内縁)も含まれます。
事実婚が認められるには、住民票などの事実婚関係を証明する書類が必要となります。
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以上、国民年金の被保険者の種類についてでした。

退職後の傷病手当金・出産手当金   [ 2013.02.11 ]

健康保険制度から支給される「傷病手当金、出産手当金」。
もし受給の途中で退職した場合、それ以降の給付はどのようになるのでしょうか。


【資格喪失後の傷病手当金】
被保険者資格があるとき(在職時)にもらっていた傷病手当金は、当該傷病で働けない状態である限り、退職後も受けられます
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[注意点]
1.資格を喪失する日の前日までに継続して1年以上被保険者であった人に限る
2.在職時に実際に傷病手当金を受給していること

傷病手当金にかかる「待期期間」を満了していない場合や、待期期間は満了しているが
   傷病手当金を受給していない場合などは、この「
受給している」にあたりません。

例:私傷病により9月1日から休み始め、9月3日に退職した場合
待期期間の3日目で退職しており、実際の給付を受けないために
資格喪失後の傷病手当金はもらえません。

3.資格喪失後の傷病手当金の支給は、「当初在職時にもらい始めた日から数えて」1年半まで
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傷病手当金を退職後も受給するつもりならば、少なくとも在職中に実際に傷病手当金を受給する必要があることを注意してください。


【資格喪失後の出産手当金】
資格を喪失する日の前日までに継続して1年以上被保険者であった人は、資格を喪失した際に現に受けていた出産手当金を引き続き受けることができます。
こちらも「現に受給していること」が条件となります。

【その他の資格喪失後給付】
資格を喪失する日の前日までに継続して1年以上被保険者であった人が資格喪失の日後、6か月以内に出産をしたときは、被保険者として受けられる出産育児一時金が支給されます。

以上、退職後の傷病手当金・出産手当金についてでした。

平成25年4月から9月までの年金額は平成24年度と同じ   [ 2013.02.01 ]

先週の1月25日に総務省から「平成24年平均の全国消費者物価指数」(生鮮食品を含む総合指数)の対前年比変動率が0.0%となった旨発表されました。

同日、これを受けて厚生労働省は、「平成25年4月から9月までの年金額については、改定は行われないこととなり、平成24年度と同じ額となる」と発表しました。

具体的には下の表の例のようになります。

平成25年4月~9月までの年金額の例
平成24年度
(月額)

平成25年
4月~9月(月額)

国民年金
[老齢基礎年金(満額):1人分]
65,541 65,541
厚生年金*
[夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額]
230,940 230,940

*厚生年金は、夫が平均的収入(平均標準報酬36.0万円)で40年間就業し、妻がその期間全て専業主婦で
  あった世帯が年金を
受け取り始める場合の給付水準

なお、「平成25年」は、「平成25年度」では無いことに気付かれた方がおられると思いますが、これは、現在支給されている年金は、平成12年度から14年度にかけて、物価下落にもかかわらず、特例法でマイナスの物価スライドを行わず年金額を据え置いたことなどにより、本来の年金額より2.5%高い水準(特例水準)で支払われています。

 この特例水準について、現役世代(将来、年金を受け取る人)の年金額の確保につなげ、世代間の公平を図るため、平成25年度から27年度までの3年間で解消する法律が、平成24年11月に成立しています。

 この法律は、平成25年10月から施行されるため、平成25年10月以降(12月支払い分以降)の年金額は、4月から9月までの額から1.0%引き下がることになります。
 (解消のスケジュールは、H25.10.▲1.0%、H26.4.▲1.0%、H27.4.▲0.5%)

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