人事労務情報

労働災害に対して、労災保険に入っていれば大丈夫?   [2012.10.15]

    昨日の記事で、「労働時間の管理が粗雑で、労働者の疲労蓄積に対しても適切な対応をしないままで労働者が健康を損なった場合、”労災保険があるから安心”は全く思い違いです。」とお話ししました。

   今日は、これに関して補足します。

   さて、題目のような質問があった場合、どのようにお答えになりますか?

   「労災保険の保険料をまじめに払っているから、当然、大丈夫だよ。」と思われている方に、本日の記事を御一読頂きたいのです。

 

労災保険(労働者災害補償保険法)
   労働基準法によれば、労働者の仕事中のケガ等、業務上の事由に起因する負傷、疾病、障害、死亡に関しては事業主がその補償(災害補償)をしなければなりません
   これは、使用者が労働契約を結ぶことによって付随的に発生する「安全配慮義務」があるためです。
   しかし、事業主に補償する意思があったとしても、事業の状況によっては、補償しきれない場合があります。
   これは、労働者にとって非常に困る状況で、このような可能性があると安心して働けません。

   そこで、国が事業主に「労働者災害補償保険」への加入を強制的に義務付け、国が責任を持って補償する仕組みを作ったのです。

労災保険の限界
   労災保険は、労働災害に対して迅速に、一定レベルの給付を行うため、言い換えれば、事務的に給付を行うため、給付額の算定法は法律で一律に決まっています
   このようなことから、法律で規制可能な(客観的に把握可能な)物理的な被害に対してのみ補償が行われます。

   よって、客観的、定量的に規定が困難な精神的被害には補償がありません
   また、補償は、物理的条件によって一律ですので次のような不合理があります。

   例)業務上の事由により片手の親指を失った場合
        この場合、労災保険では障害等級9級と判断され、給付基礎日額の391日分が支給されます。
        「一般の事務員」も「手先の器用さが強みであった熟練工芸員」もこの支給額は同じです
        極端な場合、「ピアニスト」であっても同じです
  

   一般の事務員の場合、まあまあ逸損利益は補償されたかな・・・と言えますが、工芸員やピアニストに関しては、補償が十分とは云い難いと考えられます。

   つまり、労災保険では、実際に労働者が被った損害が完全に補償されません。 

   一方、労働基準法では、労災保険で補償を行った場合においては、「同一の理由については、その価額の限度において損害賠償の責を免れる。」と規定されていますが、 反対解釈すれば、労災保険で補償されてもなお使用者に民事損害賠償の責任が追及される場合がある ということです。
   これが、民事損害賠償が請求される理由であり、リスクです。

   このような追加の損害賠償請求は、
   過労死・過労自殺、いじめ、パワハラ、セクハラなどの労務トラブル
   での発生が多いようです。

   「電通事件」のように最終的に約1億円の賠償を命じられる場合もあります。当然、この額は会社の大小と直接には関係しませんので、中小企業にとっては大変な事態となります。

   よって、労務トラブル、特に、過労、いじめ、パワハラ、セクハラの未然防止が重要です。

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