人事労務情報

労務トラブルに関するキーワード(1)   [2012.10.17]

   本日は、労務トラブルに関する基礎的なキーワードをまとめたものです。

― 安全配慮義務 ―
   平成20年3月に施行された労働契約法で明文化されたものです。
    同法第5条は、
   「 使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働する
      ことができるよう、必要な配慮をするものとする

    と、使用者の労働者に対する安全配慮義務(健康配慮義務)を明文化しています。

    危険作業や有害物質への対策はもちろんですが、メンタルヘルス対策も使用者の安全配慮義務に
    当然含まれると解釈されています。

   つまり、通常の事務作業でも長時間労働をさせられるとか、上司から不合理な過度の叱責を繰り返
   されるとか、職場でひどい”いじめ”を受けるとか、そのような危険を受けないように労働者の安全に
   配慮しなければならないのです。

   労働契約法には罰則がありませんが、安全配慮義務を怠った場合、民法第709条(不法行為責任)、
   民法第715条(使用者責任)、民法第415条(債務不履行)等を根拠に、使用者に多額の損害賠償を
   命じる判例が多数存在します
   企業は、この安全配慮義務に違反して、労働者が精神を病んだり、受傷した場合には下記の例の
   ように損害賠償責任を負う可能性があります。

   安全配慮義務と健康配慮義務に関する判例

事例1 システムコンサルタント事件
         最高裁判所第二小法廷 平成12年10月13日 労判第791号

【概要】
       Aさんは、ソフト開発会社でシステムエンジニアとしての業務に従事していた。
      入社以来、年間総労働時間は平均して約3,000時間近くに達していた。
      Aさんは、就任してから死亡するまでの約1年間、プロジェクトリーダーとしてプロジェクトの
      進捗管理、要員管理、品質管理及び発注元及び協力会社との調整作業にあたっていた。
      クライアントと作業者の間での板挟み状態の中、労働時間だけでなく、精神的負荷まで強い
      られることとなった。

      その後、Aさんは、自宅で倒れ、直ちに病院に緊急搬送されましたが、脳幹部出血により死亡。

【裁判の結果】
     
安全配慮義務を尽くさなかった債務不履行がある旨主張し、逸失利益・慰謝料等の損害賠償を
      求めました。
      第2審は3,200万円の損害賠償責任を認めました。

事例2  電通事件
         最高裁判所第二小法廷 平成12年3月24日 労判第779号

【概要】
      
Bさんは、24歳で電通に入社しました。ラジオ局に配属され企画立案などの業務に携わっていた
      が、長時間残業・深夜勤務・休日出勤などの過重労働が続いた結果、うつ病になり、自宅で自殺。

【裁判の結果】
     
下記の内容で合意に至りました。
       (1)会社は遺族(両親)に謝罪するとともに、社内に再発防止策を徹底する
       (2)会社は一審判決が命じた賠償額(1億2600万円)に遅延損害金を加算した合計
           1億6800万円を遺族に支払う

   このように安全配慮義務とならんで健康配慮義務を疎かにすると、高額の損害賠償金を請求されることもあります。
   企業のリスク管理上真剣に取り組まなければ、企業存続に関わる問題となります。

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