人事労務情報

「パワハラ」と「熱血指導」の境界線   [2012.09.04]

【パワハラの定義】
厚生労働省は、職場のパワーハラスメントを以下のとおり定義付けています。

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同じ職場で働く者に対し、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、
業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為

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優位性とは職場における役職の上下関係のことではなく、当人の作業環境における立場や能力のことです。つまり、部下や同僚であっても相手に対して何らかの優位性を持っていると客観的に認められる場合は、パワハラの行為者・加害者になり得るのです。

[パワハラ行為の具体例]
(1)身体的な攻撃(暴行・傷害)
(2)精神的な攻撃(脅迫・暴言等)
(3)人間関係からの切り離し(隔離・仲間外れ・無視)
(4)過大な要求(業務上明らかに不要なことや遂行不可 能なことの強制、仕事の妨害)
(5)過小な要求(業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと)
(6)個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること)など

この定義によると、パワハラを巡る労働問題は、特に以下の2つが重要な争点となります。

1. 争点とすべき事実の有無と程度
2. 業務の適正な範囲を超えているか否か

「パワハラ」と「熱血指導」の境界線過去に、「お前はバカか」「給料泥棒」「目障りだ」などの上司の暴言を要因とした労働者の自殺が、パワハラとして労災認定されたケースがありました。

しかし、だからといって「暴言は一切してはいけない」ということなのでしょうか。異なるシチュエーションにおける比較をしてみましょう。

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【ケース ①】
昼休み明けの5分の遅刻昼休みから帰ってくるのが5分遅れたということで、
「お前はバカか!」と上司が執拗に叱責した。

【ケース ②】
重要な商談への5分の遅刻重要な取引先との商談に5分遅れたということで、
「お前はバカか!」と上司が執拗に叱責した。
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上記のケースはいずれも「ささいな遅刻」という労働者の行為に対する暴言ですが、その業務上の重要度に差があります。仮に裁判でパワハラ行為について争うことになった場合、ケース①よりもケース②のほうが上司の暴言に業務上の合理性があると見なされると予想できます(もちろん暴言そのものが肯定されるという意味ではありません)。

つまり、言葉の内容よりも状況が大切だということです。

近年は、「パワハラ行為だと糾弾されることを恐れるあまり、消極的で実のない指導しかできない」という現場の上司の声もあります。パワハラ問題は、どちらかに偏ることなく、状況を踏まえたバランスある判断をすることが必要です。

以上、「パワハラ」と「熱血指導」の境界線でした。

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