人事労務情報

退職時の未消化年休の取扱い   [2012.11.11]

   退職の際に未消化であった年次有給休暇を全て利用する例が、最近、多くなっています。特に、定年退職の場合、これが、常識化している傾向にあります。

   使用者から見ると「①多忙な時期であると人手の確保に困る」場合があったり、または「②業務の引き継ぎが十分にできない」などの問題が生じます。
   特に、②に関しては、退職者として果たすべき義務であるとも言えます。
    しかし、普段から年次有給休暇の利用が適正に行えるような状況にあったのか否かといったことも権利行使の適否の評価に影響するものと考えられますので,慎重な対応が特に求められます。

    この意味からも「残業時間削減のアプローチ(18)」で述べましたように、割増賃金の時間単価低減の効果のみならず、上記のようなリスク回避のためにも年次有給休暇の計画的付与の導入を考えるべきです。
   もちろん、ワーク・ライフ・バランス支援にも関連しますが、年次有給休暇の取りやすい職場環境を整備することが最も重要ですが。

   さて、今回のような事例に直接答えた行政解釈はありません。
   しかし、退職ではなく解雇を予定している場合についての解釈があります。
   「当該労働者の解雇予定日をこえての時季変更は行えないものと解する。」(昭49・1・11基収5554)
   これは、解雇を予定している者についての解雇予定日を超える変更を認めるということは、時季変更権が持つ本来の効果を逸脱して、休暇利用を拒絶する効果を認めることになるから、そのような変更はできないとされたものです。

   退職の場合も退職後は年次有給休暇を取得することができないので、同様と考えることもできますが、退職の場合は、退職の時期を労働者本人が決定するわけですから少し状況が違います。(定年退職は、退職の時期が決まっており、使用者側も周知であり、上記の解雇に近い解釈ではないかと思っています。)

   一般論としては、使用者は休暇が法の認める権利であることに留意し、できる限りその利用に便宜を図るべきですし、一方業務の引き継ぎ等、退職者としてなすべき最低限の行為に必要な勤務は退職者の義
務であり、休暇を利用することによりこれができない場合には、退職者としては退職の日付を遅らせるか休日の日数を削る等の配慮をするのが筋であると思われます。
   実務的な処理としては、仮に退職の日付が変更できない(定年退職が相当します)のであれば、労使合意により現実に利用できなかった日数分の休暇を買い上げるということも考える必要もあります。(定年退職の場合には、使用者側が前もって、計画的に業務の引き継ぎを進める事が必要です。) 

お気軽にご相談ください

  • 初回無料相談受付中

サービス案内

  • 顧問サービス
  • 就業規則の作成

その他サービス

情報コラム

情報コラム新着記事

事務所案内

  • 磯野 仁 社会保険労務士事務所
  • 代表:磯野 仁
  • 〒723-0144
  • 広島県三原市沼田東町末広325-51
  • 電話:0848-66-0646
  • FAX:0848-66-0646
  • 営業時間:平日 9:00~18:00

事務所案内の詳細

お問い合わせフォーム