人事労務情報

管理職に残業代を払わない危険性   [2012.11.17]

1.はじめに
   労働基準法に定められた、いわゆる「管理監督者」にあたる労働者には、残業代を支払う必要はありません。
   この規定を基に「課長職以上には残業代を支払わない」等の運用をしている会社もありますが、そこには労使トラブルのリスクが潜んでいます。
   ここでは、「管理監督者」としての判断基準と、想定されるリスクについて説明します。

2.管理監督者に関する法的根拠
   労働基準法第41条には、以下のように定められています。

   労働時間、休憩及び休日に関する規定は、次の各号の一に該当する労働者については適用しない。
   事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者
   (一部省略)

   管理監督者には、「週40時間」「1日8時間」などの制限や、「週1日は休日を与える義務がある」といった労働基準法の規定が適用されません。
   つまり、時間外労働手当や休日労働手当を支払わなくてもよいということです。

3.管理監督者としての判断基準
   行政通達や判例によると、労基法第41条の管理監督者として認められるには以下をすべて満たす必要があります。
【1.重要な職務と権限が与えられていること】
   企業の経営方針や労働条件・採用の決定に関与していて、人事権や労務管理上の指揮命令権を持つなど経営者と一体的な立場にあることが求められます。
   例えば飲食店の店長の場合、アルバイト採用の人事権や店舗の統括等の責任があっても、経営方針や全体の運営に対する関与の度合いは必ずしも大きくなく、「経営者と一体的な立場」としては認められにくいでしょう。

【2.出退勤について管理を受けないこと】
  
管理監督者とは文字通り「従業員を管理監督する立場」なので、①タイムカードを打刻する②欠勤したら給与を控除されるなど出退勤を管理されている場合は、管理監督者として認められにくいでしょう。

【3.管理者としてふさわしい賃金が支払われていること】
  
役職手当などが相当に支給されており、給与総額が下位職の労働者と比べて相当に高くなければ、管理監督者としての待遇とみなされません。
   例えば「チーフ手当10,000円、店長手当20,000円」という程度の差異では、管理監督者としてふさわしい待遇とはみなされないでしょう。

【4.自らが生産ラインに関わらないこと】
  
かつて、マクドナルドの店長が「自分は管理監督者ではない」と残業代の支払いを求めた訴訟がありましたが、その際会社は500万円を超す未払い残業代を支払いました。
   判断の拠り所となったものに「店長自らもハンバーガーを作っていた」ということがあります。
   プレイングマネージャーとして自らも営業生産活動を行っている場合は「経営者と一体的な立場」として認められないという判例です。

4.労使トラブルリスク
   以上を踏まえると、日本の中小企業の管理職で「管理監督者」に該当する人は現在ほとんどいないでしょう。
   中小企業における管理職の多くは現場の第一線で働いており、長時間労働も見受けられることから、管理職の未払い残業代のリスクは大きいと言えます。
   この点で、管理職に対する固定残業代導入などの対策は不可欠です。

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