人事労務情報

健康診断と安全配慮義務   [2012.12.26]

 昨日、コンビニエンスストア大手のローソンが健康診断を受けないと賞与減額の制度を導入するとの記事を書きました。この狙いは、「社員の健康維持によって業務の効率アップ」と説明されていますが、個人的には、企業の「安全配慮義務」に関するリスク回避が隠された狙いと思っています。

 まず、事業者に関して、労働安全衛生法に、事業者は使用する従業員に対して、医師による健康診断を実施しなければならないと規定されています。(この事業者の義務違反には、50万円以下の罰金が課せられる)

 次に、労働者に関する健康診断の受診義務について、労働安全衛生法は労働者に対しても、「事業者が行なう健康診断を受けなければならない。」と規定しています。しかし、事業者の健康診断実施義務と異なり、労働者の健康診断受診義務に対しては罰則は規定されていません

 よって、事業者は健康診断を受けない従業員に対して、業務命令として健康診断を受けるように命じることは問題ありません。しかしながら、嫌がる従業員を無理に引っ張っていって健康診断を受けさせることは現実的ではありません。

  では、健康診断を受けない従業員に対して「何度言っても受診しないので、そのままにしておこう」として、健康診断を受診させないままにしておくことは問題ないのでしょうか。

  事業者には、労働契約上、労働者の生命、身体の安全そして健康に配慮するといった安全配慮義務が課されています。このため、健康診断を受診しない従業員をそのまま放置して、もし潜んでいた病気が原因となり労働災害が発生した場合には、相当の補償を請求される可能性があります

  また、病気が直接的な原因でなくても、高血圧の従業員に対して、高所作業を命じたところ、ふらついて転落した場合など、健康診断を受診させていない(本人が受診しなくても)高血圧の従業員に労働強化を行ったということで安全配慮義務違反に問われる可能性が大きいと考えられています。

  このため事業者のリスク回避には、就業規則において、健康診断の受診義務を規定し、その規定に違反した場合の懲戒規定を必ず記載しておき、口頭で健康診断を受けるように伝えたにもかかわらず、頑なに受診しない従業員に対しては、就業規則に基づく懲戒処分を行い、その記録を残しておく必要があります。
  この懲戒規定がローソンでは、賞与カットになっているわけです。

 

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