人事労務情報

職制の部下に対する権限について(3)   [2013.03.12]

2.業務命令権限

職制の2番目の権限は、業務命令権限です。

業務命令とは、使用者が業務遂行のために従業員に対して行う指示や命令であり、業務指示権、業務命令権という概念に基づくものとされています。
その根拠は、労働契約に基づくものと考えられています。
労働契約での「労働者が労務を提供する際に、使用者がその提供する内容について指示、命令することがある」との約束、合意があったということです。
 これが業務命令であり、使用者は労働契約に従った業務命令権を有することとなります。

また、「命じうる業務命令の内容は、労働契約上明記された本来的業務ばかりでなく、労働者の労務の提供が円滑かつ効率的に行われるために必要な付随的業務も含む。」とされています。

具体的な業務命令権の内容や範囲は、労働契約の内容たる就業規則に定められることになります。
「従業員は会社の命ずる異動、職務の変更等に応じなければならない」というような定めが一例です。

これらの定めがある場合、会社は業務命令として異動等を命ずることができ、もし労働者が拒否すれば業務命令違反となります。
懲戒規定があれば処分もできます。
その他、日常業務全般についても、必要があれば指示、命令することもできます。

「これやってね」と言ってダメなら、「これは業務命令である」と一言添えれば、懲戒もあり得る強い命令になります。

このように、使用者には幅広い業務命令権がありますが、自ずと限界があります。

「労働者の人格、権利を不当に侵害することのない合理的と認められる範囲のものでなければならない。」のです。
この合理性の判断は、総合的に判断する必要があります。」

例1
バスの運転士が脱帽乗務をしたで減給したことについて、制服・制帽の着用は、運転士に対し、その任務と責任を自覚させ、乗客に信頼感を与えるもので、これを強制する就業規則等の規定には合理性がある。

例2
トラックの運転者が頭髪を黄色に染めたこと自体が就業規則上直ちにけん責事由に該当するわけではない。
(トラックの運転手がお客に接する機会が少ないことから。)

 さらに、仕事はその労働者一人だけで行うものではなく、同僚や上下の担当部署にある従業員とともに協同して遂行しなければならないものですから、協同・協調し、一体となってその職場の規律に従って働くという点も重要な要素なので、このために協同遂行に関する必要な指示、命令も業務命令の中に入ってきます
 

いずれにしても、通常と異なる命令をするときは、その必要性や内容について、今一度考えてから命ずることが大切です。

どうしても業務と関係の薄い事を命じるのであれば、あくまでもお願いとのスタンスで行うべきです。
「○○してくれると有り難いな~」と匂わせ、従業員が「私にやらせて下さい」と自ら名乗り出る形であれば、違法はともかく多少不当な事案なら通せることもあります。
ただ、これが元でヒイキしすぎると、他の社員の恨みを買うので程々に。

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