人事労務情報

雇用規制の緩和は実現されるのか   [2013.04.16]

自民党公約の「解雇規制の緩和」による「解雇をしやすい社会の実現」は、我々にどのような影響を与えるのでしょうか。

はじめに
2012年の政権交代を機に、自民党はマニフェストの中で初めて「解雇規制の緩和」について言及しました。
諸外国と比べて「労働者を解雇しにくい」日本の法体制を改めることが経済の立て直しに繋がるとの論調ですが、利害対立する労働者側団体等の反対もあり議論を呼んでいます。

ここでは「解雇」に対する現行ルールと規制緩和の内容について解説し、同時に解雇取扱いの変化が会社にどのような影響を与えるのかを考察します。

解雇に関する現行の法律ルール
社員の解雇については、労働基準法で以下のように定められています。

(1) 【労働契約法第16条】解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると
         認められない場合は、その権利を濫用(らんよう)したものとして、無効とする。

(2) 【判例により確立された法理】整理解雇(リストラ)については以下4つの要件が会社に
        求められる。
        
① 人員整理の(とくに経済的)必要性

         ② 解雇回避の努力義務

         ③ 選定の合理性

         ④ 説明責任・手続き妥当性

上記(1)のように解雇についての法律ルールは曖昧で、明確な線引きありません。さらに、日本では「終身雇用」の風潮があります。

結果として(2)のように会社側が解雇を回避するために「経営削減や役員報酬カット」「他の職種への転換を検討する」「公平に対象者を選ぶ」「しっかり説明する」など、相当の経営努力をしなければ解雇は許されない という流れが出来上がりました。

規制緩和の方向性
現行の法律ルールについては、下記のような問題点が指摘されています。

 解雇のハードルが企業にとって高すぎるため、雇用の受け皿である企業の成長の邪魔をしている

l正社員の解雇をしにくいのであれば、企業は人員調整しやすい派遣社員や契約社員の雇入れをするようになり、結果として雇用安定につながらない

そのため、「もう少し解雇をしやすくして、労働者が企業から企業へ移りやすくしたらどうか(雇用の流動化)」という主張に繋がっているようです。

現段階では具体的な緩和方法は決まっていませんが、「経営が困窮していなくても、ある程度必要があれば解雇できる」、「金銭的解決を認める」などの方向性が予想されます。

 
雇用の流動化が企業に与える影響

までよりも解雇がしやすい環境が実現した場合でも、本当に「雇用の流動化」に繋がるかは不明です。仮に「雇用の流動化」が進んだ場合、企業には以下のような変化が予想できます

(1) 経済的に非効率な部門や人材にかけていた人件費が圧縮される

(2) 企業への帰属意識が低下し、結果として優秀な人材を会社にとどめておくための人件費が
      増加する

「役に立たない社員はいらない」という会社の意思表示がしやすくなる一方で、「魅力のない会社に長く留まる理由はない」という労働者も増えるのではないでしょうか

今は、上記の(1)が注目されているようですが、本当は企業にとっても厳しいものであると思っています。

 

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