人事労務情報

パワハラとなる限界   [2012.09.23]

   昨日、『パワハラ防止の「むずかしさ」』の記事を書きました。

   この記事の中では パワハラ防止のむずかしさ とは、「①業務上の指示や叱責は必要であり、セクハラのように本来の業務では不必要なものではない。よって、誰もが加害者となり得ること。②しかしながら、ある限界を超えるとパワハラとなるが、その限界を個々の 管理者に十分に理解させる必要があること。」にあると書きました。

   今日は、②のパワハラとなる限界についてお話しします。

1.パワハラの定義

   パワハラの定義には、公認されたものがなく、いくつかの団体等で出されています。

   ここでは、「パワハラ(パワーハラスメント)」という言葉を造られた方(岡田康子先生)が所属されている会社(クオレ・シー・キューブ)の定義を記します。

【定義】
   職務上の地位又は職場内の優位性を背景にして、本来の業務の適正な範囲を超えて、継続的に相手の人格や尊厳を侵害する言動を行うことにより、就労者に身体的・精神的苦痛を与え、また就業環境を悪化させる行為

2.定義の詳細
 
   ここでは、上記の定義を具体的に解釈します。
   (岡田、稲尾『パワーハラスメント』日経文庫を参考に作成しました。)

1)職務上の地位又は職場内の優位性を背景にして
・通常、考えられているように管理職の職権が、まず、第一ですので管理職が最も加害者になり得ます。
・管理職のみでなく、次のような人、グループもパワハラの加害者と見られます。
専門的な知識や技能がある人
   情報などを出し惜しみすることでパワハラとなり得ます。
  (例えれば、忠臣蔵の吉良上野介でしょうか。)
内々のグループをつくり、集団の力でパワハラをします。
  (パート仲間がなじめない新入りに対して行うものです。また、集団で新任の上司に対しても行うことが、
      あり、上司から部下とは限らないのです。


2)本来の業務の適正な範囲を超えて
・この「適正な範囲」には、「客観的に見て」、「業務上の必要性」が重要なポイントです。
次の指示は、必要性が認められません。
①嫌がらせ目的のトイレ掃除
②教育と称する毎日の反省文書き
③その従業員が従来やったこともない毎日の意味の無い単調な作業
④私的な送り迎え、買い物など
これに加えて、過大な仕事量、目標を与える。又は、全く仕事を与えない。

3)継続的に
・仕事上のミスに対して、本来は抑えるべきですが、我慢できずにその場で大きな声で叱責したが、
 1回だけであればパワハラとは言えません
何回も継続して、行為を行うとパワハラと認められる可能性が大です。
・ただし、1回限りでも差別用語を使うなど明らかに人権を侵害した場合や殴る、蹴るなどの暴力
 行為はパワハラです
。 1回でもアウトです。

4)相手の人格や尊厳を侵害する言動を行う
・次のようなことです。
本人がどうしようもないこと(家柄、生い立ち、性別、容姿、など)の非難や変えられないことの
   指摘
。 指摘自体が「指導や教育」でなくなり、むしろ人格を傷つける。
②仕事のミスを本人をバカにするようなニュアンスで伝える
③本人が気にしていることを人前でおもしろ、おかしく話して笑いものにする
④人前で大声を出して感情的、高圧的、かつ攻撃的に叱責
人としての存在の否定や無視(『お前は要らない。』、『辞めてくれ。』、『お前は本当にダメな赦。』、
   『顔も見たくない。』)

5)就労者に身体的・精神的苦痛を与え、また就業環境を悪化させる行為
   パワハラを受け続けると・・‥
・「胃が痛くなる」などの身体の不調だけでなく、「眠れない」、「職場にいくのが怖い」などの心身への
  影響が深刻となる。
・最悪の結果は、精神障害⇒自殺です。

3.パワハラとなる限界
  以上のことからパワハラとなる限界は、次のようなものと考えられます。
 
1)次のものは、言うまでも無く絶対にパワハラ(刑法などに抵触)
暴力行為:殴る、蹴るなど
脅迫行為:「言う事をきかないと〇〇だぞ。」
侮辱行為:土下座の強制など
④会社法などの違法行為の強要:詐欺まがい商法、不正経理などの強要

2)客観的に見て業務に不必要な指示
①嫌がらせ目的のトイレ掃除
②教育と称する毎日の反省文書き
③その従業員が従来やったこともない毎日の意味の無い単調な作業
④私的な送り迎え、買い物など

3)過重な仕事量、目標を与える。又は、全く仕事を与えない。

4)パート、アルバイトなど雇用関係が不安定な人への「明日から来なくていい。」 などの発言

5)人格や尊厳を侵害する言動(前述2項の4)に記載のもの)

6)精神的に疲弊した社員への追い込む発言。「やる気があるのか?」

管理者が適正な範囲で叱責しているうちは良いが、 表現方法が間違っていたり、
(大声も含む) 余計な一言を付けると 大きな問題に発展する。

   昨日の記事で書きましたように、部下がパワハラではないようなことも「パワハラだ!」、
「パワハラだ!」と騒ぎ出し、上記の限界をしっかり認識していない管理職の方は、それをたしなめる
こともなく、下手をすると「パワハラと言われる位なら何も言わないで おこう。」とし、職場の秩序が崩壊
してしまいます


   逆に、管理職のみならず社員もパワハラの限界を理解し、互いにコミュニケーションすれば、
職位の上下はあるが、人間として対等に、本音が言えるようになり、人間関係改善、情報の
共有化の進展、発想力向上が期待できる働きやすい職場になり得ます


管理職の方の教育等が必要です。

もちろん、管理職の方の教育だけでは、不十分で、会社全体で取り組み、厳しくなるから仕方なしに
対応するのではなく、これを機会に働きやすい職場にすべき努力することが大切だと思います

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