人事労務情報

職務分析と職務評価   [ 2012.10.30 ]

   近年、パート社員と正社員の待遇バランスも重要視されています。
   ここでは、職務分析と職務評価のポイントについて取り上げます。

 

1.職務分析と職務評価
   
    職務分析:「〇〇という職務は、△△ということだ」と定義付けにより職務の内容を明確に
                   することです。

    職務評価:「〇〇という職務は、内容の比較から◆◆より重要だから賃金に差を付けよう」、
                  「同等だから賃金格差を正そう」などのように、職務分析の結果から職務の重要性
                   などを他の職務と相対評価することです。


2.導入の手順

【職務分析】
Step1 情報収集
   分析対象の職務を決め、担当者や直属の上司に「日々の業務内容」、「業務目的」、「必要な技能知識」、「意思決定の権限の有無」などのヒアリング

Step2 収集した情報の整理・統合
   収集した情報を「業務内容」、「責任の程度」などの要素ごとに整理

<職務分析シート例:営業職の場合>

業務概要 対象範囲
業務内容 1 電話営業 新規顧客
業務内容 2 フォロー 担当顧客のみ
業務内容 3 書類作成 担当顧客
必要な技術 商品知識

〇〇検定△級程度

 

責任程度 権限

部下なし
決裁権限なし

トラブル発生時 報告義務あり
独断での対処権限なし

成果への責任
会社業務への貢献

ノルマなし
チーム業績

【職務評価】
   職務評価では、職務分析結果を基に、ある職務を他の職務と比較して相対評価をしていきます。
   この場合、相対評価が必要な二者間において比較することが重要です。
   比較する方法としては、以下が考えられます。

   ●同じ部門で雇用区分が違う者の職務を比較する
       例)製造部門正社員/製造部門パート社員    
                                                                
   ●違う部門で同じ雇用区分の者の職務を比較する
       例)営業職正社員/事務職正社員             

   組織における個々の仕事を客観的に分析し、定義付けすることで、従業員間の待遇不均衡が明らかになります。
   また、従業員のキャリアアップへの道筋を新たに作ることもできます。

   評価制度の導入に関する助成金も活用しながら、積極的に取り組まれてはと考えます。

行政運営方針   [ 2012.10.28 ]

1.労働基準監督官の職務

   主要なものとして次の2つのものがあります.

1) 行政監督権限
   労働基準法や労働安全衛生法などの法律が守られているかを調べ、使用者等を監督指導するために事業場、寄宿舎その他の付属建設物に臨検し、帳簿、書類の提出を求め、又は使用者若しくは労働者に対
して尋問を行います。

2) 特別司法警察権限
  労働基準法等の法律違反の罪について、刑事訴訟法に規定する司法警察官の職務を行います。

 

2.臨検について
  
   臨検は、原則として抜き打ちで行われます。

   大きく分けて2種類があります。

①定期監督
   労働基準j監督署がその年度の「監督指導業務計画」に基づき実施するものです。

②申告監督
   労働者からの法令違反等の申告があったときに実施されるものです。

3.監督指導業務計画
 
   上記のように内部告発以外の定期監督に関しては、「監督指導業務計画」に基づいて実施されますので、今年度の定期監書の傾向は、「監督指導業務計画」で大体推定することができます。

   この、「監督指導業務計画」は、次のように定められます。

①厚生労働省 労働基準局が「地方労働行政運営指針」を作成し、毎年度の重点施策を明らかにします。
 ↓
②この「地方労働行政運営指針」に基づいて、その都道府県の実情を反映した「行政運営方針」を作成し、都道府県労働局の重点方針が決まります。
 
③各労働基準監督署では、都道府県の「行政運営方針」に従つて、「監督指導業務計画」を作成します。


広島県において、「監督指導業務計画」ベースとなる広島県の「行政運営方針」は、広島労働局のホームページで知ることができます。
http://hiroshima-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/roudoukyoku/_85402.html

 

地域産業保健センターについて   [ 2012.10.27 ]

   御承知のように社員の健康診断は、企業に義務づけられています。
   毎年1回の定期健康診断などを実施したことがない、または、実施していても毎年実施していない場合は、考えを改めて頂き、早急に実施する必要があります。

   一方、毎年きっちりと実施されていたとしても健康診断後の一連の対応をきっちり、やっておられるかを確認頂きたいのです。

健康診新案施後の一連の対応とは、次のようなものです。

【必須事項】
1.健康診断個人票の作成(5年間保存
2.「定期健康診断報告書」の提出⇒遅滞なく、労働基準監督署に提出
    (但し、常時50人以上の労働者を使用の場合)
3.健康診断結果を本人に通知。(遅滞なく)


【もし、異常の所見が認められた労働者がいた場合】
   医師または歯科医師の意見を聞かなければなりません。
   (健康診断実施日から3カ月以内)
   意見を聴いた結果、措置が必要と認められた場合には、その労働者の実情を考慮して、次のような措置を講じなければなりません。

1.労働者に対して ・・・・・就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少等

2.事業場に関して ・・・・・作業環境測定の実施、施設または設備の設置または整備、
                                「医師又は歯科医師の意見」の衛生委員会への報告

   その他

 

   さて、意見を聴く医師ですが、労働者50人以上の事業場では、産業医の選任義務がありますので、産業医にお願いすればよいわけですが、50人未満の会社では?
   このような場合の強い味方が「地域産業保健センター」です。

   これは、厚生労働省の委託を受けた地域の医師会などが、小規模の会社に対し、て原則無料で相談の場を提供してくれるサービスです。
   知つておられない方が意外におられますので、ご参考までに・・・。

   私の住んでいる三原市では、三原市医師会病院内にあります。
   各地域の地域産業保健センターに関しては、最寄りの労働基準監督署などにご確認ください。

問題社員が招く二次問題   [ 2012.10.25 ]

はじめに

   社員数が増えると、いわゆる「問題社員」と呼ばれる従業員の発生リスクも高まります。
   しかし、ひと言で問題社員といっても様々なタイプの社員がいますので、タイプに応じた対策が求められます。
   また、問題の程度が「懲戒をするほどのものではない」場合、会社は対策を先延ばしにしてしまいがちです。

   ここでは、問題行動を起こす社員の「小さな予兆」に着目し、その「火種」がどのような二次的問題を起こすのかを取り上げます。

問題社員の予兆と二次的問題

【ケース1】労働関係の法律に詳しく、周囲に教えている
[予兆]
   法定の労働時間や休憩休日、年次有給休暇、残業の計算式、ひいては解雇の法律条文など、一般の社員であれば興味を持ちにくい労働関係の法律に非常に詳しい。自身の労働条件について法律を盾に権利主張をする。
[注意すべき二次的問題]
   周りの労働者に法律知識(特に労働者権利を保護するもの)を教えてまわる、さらには被害者意識を強めるように伝搬させる行動が想定できます。このような人物を発端として「未払い残業代請求」や「解雇無効」等の集団訴訟に発展した事例もあります。


【ケース2】少額の給与前借り、社内貸付制度利用等の要求
[予兆]
   給料日前に給与の前借りを希望したり、社内貸付制度で少額借入を申し込んだりする。
[注意すべき二次的問題]
   金銭的に困窮していて、過剰な借り入れ等金銭トラブルの渦中にいる可能性があります。横領事件や従業員同士の金銭貸借を巡るトラブルに発展することもあります。


【ケース3】創業社長には忠実だが、後継者(社長の子息等)との関係がうまくいっていない
[予兆]
   創業社長には信頼を置いているが、二代目社長(主に社長の子息)の能力を軽視している。しぶしぶ命令に従っている態度が見て取れる。陰で二代目社長の愚痴を言っている。
[注意すべき二次的問題]
   労働組合の結成などにより非合理な賃上げ要求や待遇改善、権限移譲を求めるなどの行動が想定されます。創業社長にカリスマ的魅力を感じる反面、二代目社長に対する嫉妬心から反発し、企業秩序の混乱が起こることがあります。


トラブル予防策
  
これらのケースへの予防策として、以下が挙げられます。

就業規則の懲戒規程を強化する
   懲戒規程の項目を子細に再点検し、金銭の取扱いや秩序維持義務違反を厳格化することで「懲戒規程のこの部分に書いてあることに違反している」と言いやすくなります。

トラブル本格化に備え、マイナス事実の記録を始める
  
予兆が見えた労働者の「ほんの些細な遅刻」や「取るに足らない程度の取引先からのクレーム」等のマイナスポイントを、細かく記録しておきます。
   その記録は、労働者と対決状態になった時に、会社側の主張を補強する証拠となりえます。

   一方で、会社側はあまり労働者を疑い深い目で見ないように気を付けなければなりません。なぜなら、その「小さな予兆」のおかげで、現行の労務管理体制の欠点を見つけることができるかもしれないからです。

   用心に越したことはありませんが、バランスのとれた判断をすることが大切です。

法定外休日の労働と割増賃金   [ 2012.10.25 ]

    「法定外休日」が取り上げられているということは、「法定休日」があるのですが、まず、この両者の違いを確認します。
   法定休日   :労働基準法 第35条(下記)で定められている休日の定めのことです。
                   「使用者は、労働者に対して、毎週少なくとも一回の休日を与えなくてはならない。
                     ②前項の規定は、四週間を通じ四日以上の休日を与える使用者については
                        適用しない。

                    法律では毎週少なくとも1日以上、例外で4週間で4日以上の休日を与えなくてはなら
                    ないのです。例えば、週休2日制で土日が休みの企業の場合、法定内休日は土日の
                    うちの1日だけでもいいし、両方とも法定内休日としてもいいのです。
                    (これは、就業規則等で定めます。)

   法定外休日:例えば、週休2日制で土日が休みの企業で、就業規則等で日曜日のみを法定休日
                    と定められている場合、土曜日が法定外休日になります。


   では、この法定外休日に労働させた場合、割増賃金を払わなければならないのでしょうか

   これに関しては、労働基準法 第37条「時間外、休日及び深夜の割増賃金」による割増賃金の支払義務の有無と労働契約上での支払義務の有無の2面からの検討が必要です。

   労働基準法上は、
   法定休日の労働に関しては割増賃金の支払義務は、ありますが、法定外休日の労働に関しては、支払義務は生じません。(ただし、法定外の所定休日の労働の結果、週の法定労働時間を超えた場合は時間外労働としての割増賃金の支払は必要です。)

   これに対し、労働契約上は、
   割増賃金の支払義務があるかは、就業規則等の定めによって判断されます。
   
   労働協約や就業規則あるいは労働契約上、所定休日に労働する場合、それが法定の休日か否かを問わず一律に割増賃金を支払う旨の定めがあれば、使用者は当然その支払義務を負い、これを支払わなければ労働基準法第24条の賃金の全額払いの規定に違反することになります。
 
   また,就業規則等で、法定外休日と法定休日とを区別し、前者については割増賃金ではなく、時間当たりの所定賃金を支払うことを定めている場合には、これを支払えば良いのです。何らの定めもなく判断し難いような場合は、少なくとも時間当たり所定賃金を支払えば良いのです、」

労務トラブルに関するキーワード(7)   [ 2012.10.23 ]

 ― 業務上疾病 ―

   労災保険では、業務との間に相当因果関係にあると判断される疾病についても保険給付の対象としています。
  
   この業務上の疾病に関しては、労働基準法の施行規則に疾病の名称が列記されています。(別表第1の2    1号~10号)

   上記に列記されていない疾病であっても「業務に起因することの明らかな疾病」(同表の11号に規定)は、業務上の疾病とされます。

   過労死、いじめ、パワハラ等で問題となる「脳血管疾患」、「精神障害等」に関しては、次の「認定基準」や「判断基準」によります。

   *「脳血管疾患及び虚血性心疾患等(負傷に起因するものを除く。)の認定基準
                                            平成13年12月12日  基発第1063号

   *「心理的負荷による精神障害の認定基準
                                            平成23年12月26日  基発1226 第1号

労務トラブルに関するキーワード(6)   [ 2012.10.22 ]

 ― 不服申立手続 ―

被災者(遺族)
     ↓  労災申請
労働基準監督署
     ↓  再審請求
労働者災害補償保険審査官
     ↓  再審査請求
労働保険審査会
     ↓  行政訴訟の提起
地方裁判所
     ↓  控訴
高等裁判所
     ↓  上告
最高裁判所

   労働審判に不服のある当事者は、審判書を受け取った日又は期日において労働審判の告知を受けた日の翌日から起算して2週間以内に、裁判所に対して異議の申立てをすることができます。
   この異議の申立ては、裁判所に対して異議申立書を提出する方法によって行います。
  適法な異議の申立てがあれば,労働審判はその効力を失います
   この場合、労働審判事件は訴訟に移行し,労働審判手続の申立ての時に訴えの提起があったものとみなされて、初めから審理が行われることになります。

   なお、労災の範囲を超える損害賠償に関しては、行政段階がありません。

労務トラブルに関するキーワード(5)   [ 2012.10.21 ]

 ― 使用者責任 ―

   下記の民法715条1項の規定に基づくものです。
   「ある事業のために他人(被用者)を使用する者(使用者)は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。」

被用者(労働者)の行為について使用者が責任を負う根拠:

①報償責任
   使用者は労働者の活動によって事業範囲を拡大して「利益」を上げているため、利益の存するところに「損失」を負担させる。

②危険責任
   人を使用して自己の活動範囲を拡大する場合には、社会に対する加害の危険を増大させるので、使用者が危険を支配する者として賠償責任を負う。

   注意点
   上記の法律の但書では、
   「ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りではない。」
と規定されているが、

この但書の適用は実際には認められることがほとんどありません。

労務トラブルに関するキーワード(4)   [ 2012.10.20 ]

― 人格権侵害 ―

   簡単に言えば、使用者には労働者を「人間扱い」すべき法的義務があり、労働者の人格的利益を侵害してはならないのです。
   具体的に言えば、不合理な過度の叱責を繰返し、いじめ、知るべき情報の遮断、能力を大幅に超える又はあまりにも低級な質・量の業務の指示など「人間としての尊厳」をもて遊んではならないのです。(山梨県昭和町事件)

   人格権を侵害した社員が不法行為による損害賠償責任を負うのはもちろん、使用者も責任を負います

ある例:突然、本部長が配下社員に怒鳴り声 
          「ああもう、あなたは もう あっちへ行って! しっしっ!」

          気性の激しい(自分で認めている)本部長が周囲に当り散らすため、
          配下社員の数名が、理不尽な発言に悩んでいる。
          ただ、本部長職ということで、人事評価が怖く、課長や部長レベルは言いなり状態
          なので、平社員が しわ寄せから 泣く構造です。
         上記の発言は、規定の報告書を提出に本部長のデスクに行っただけで、そう言われて
         困惑。
         急に機嫌が良くなったり、悪くなったりします。

   人格権侵害損害賠償を請求される可能性が大です。
   このような情報を掴んだ場合は、指導し、場合によっては、配置替えが必要です。

    多くの場合、人事担当に苦情が出されますが、何人かが同様の苦情を出してきた場合は、
急ぎ、事実を調べ、指導等が必要です。握りつぶすと大変なことになります。

「試し出勤」に労災は適用されない?   [ 2012.10.20 ]

   メンタルヘルス対策の中で復職規定や、「試し出勤」の規定の見直しはポイントとなります。

   試し出勤とはいえ、勤務、業務にあたるのであれば給与も発生することになりますが・・・・

   しかし、試し出勤とは職場復帰の判断等を目的としているものであり、厚生労働省の「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」にも災害が発生した場合の対応について、注意点を呼びかけています。
   「労働基準法」と「労働者災害補償保険法」の観点からは「休業中」は労働を免除され賃金も支給されていません。
   「試し出勤」は、休業中に行うものなのか?「試し出勤」は、休業終了してから行うものなのか?

   「試し出勤」中に発生した災害は、労働者災害補償保険法の「業務災害」又は「通勤災害」に該当するか?  どのような場合に該当するか、
  
   今年の春のことではありますがこんな質問と答弁が国会で行われたようです。(下記参照)


復職前の試し出勤の際通勤や仕事中のケガは、労災保険は対象外?


   この点について、河野太郎衆議院議員は、「試し出勤」についての質問主意書を提出。
   *「試し出勤」中に発生した災害は、労働者災害補償保険法の「業務災害」又は「通勤災害」
      に該当するか?
   *
どのような場合に該当するか、もし該当するならば、「試し出勤」実施中に発生した災害が
      業務災害または通勤災害として補償の対象となり得ることを、国として民間企業に周知徹底
      すべきではないか。
   *例えば、「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」を改訂し、より明解
      に記載すべきではないか。

【答弁】
   「試し出勤」中に労働者が受けた災害については、労働者災害補償保険法第7条の業務災害、通勤災害に該当する場合があるとし、職場復帰支援の手引き の改訂を含め、具体的な方策を講じ、民間企業に対する周知の徹底を図り、「試し出勤」をしている労働者が、復帰を予定する職場において、使用者の指示に基づき当該職場の業務に関連する作業に従事するなどの状況において、当該作業に起因して災害を受けた場合や、当該作業を行うために通勤する途中で災害を受けた場合には、業務災害等として認められることがあり得る。


 どのようなことを行っていた場合に労災に該当するのかまでは明確になっていませんが、このような質問および答弁が行われたことにより、「試し出勤」制度が進むことが期待されます。

  

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