人事労務情報

労働者からの退職申し出期間について   [ 2013.03.30 ]

社員が会社の慰留を受け入れず、一方的に退職をした結果会社が損害を受けた場合、損害賠償を請求できるのでしょうか。

期間の定めのない雇用契約をしている社員が2週間前に退職を申し出ている場合、民法上退職は認められ、退職を理由とする損害賠償を請求できないと考えられます。

【社会通念上の対応】
労働契約には、期間を定めたものと、期間の定めがないものとがあります。
期間を定めた契約を結んでいるときは、やむを得ない事情がない限り、期間が満了するまで退職することは認められません。

しかし、期間が定められていない契約の場合には、基本的に社員は会社の許可を得ることなく、いつでも退職できます。

とは言え、社員が任せられている職務を引き継ぎせずに即日退職をすると、会社の営業に不利益を与えることになります。
やはり事前に申し出をすることが「社会通念上」は求められます。
では、法律上はどのようになっているのでしょうか。

 【法律上の対応】
実は、労働基準法をはじめとする労働諸法令では、社員側からの退職申出の期日については特に定められていません。
一方で、民法では以下の様に定められています。

<民法第627条第1項>
期間の定めのない労働契約については、各当事者はいつでも解約の申し入れをすることができ、解約の申し入れから2週間を経過することによって終了する。

つまり、社員側からの退職申し出については、一般法である民法の規定が適用され、原則として2週間以上前に申し出ればよいことになっています。
今回のケースでは、2週間前という条件を満たしていれば、退職申し出そのものは有効になります。

 

ところで、就業規則上はしばしば「一般社員は1ヶ月前、役職者は3ヶ月前」などと民法上の規定よりも長めに期間を定めていることが多いですが、これは実は会社独自のルールとして定めているにすぎず、法律上は民法の規定が優先します。
ただし、実務上は就業規則には長めに期間を定め、会社の慣習として退職社員の協力を求める方が良いでしょう。

以上、労働者からの退職申し出期間についてでした。

転勤命令について   [ 2013.03.28 ]

社員を転勤させる時、会社は一方的に勤務場所を変更できるのでしょうか。

完全に勤務地を限定している場合は、社員の同意がなければ変更はできません。
しかし、そのような特約がなく、就業規則や雇用契約書に転勤の可能性が記してある場合には、常識的な範囲内で転勤命令ができます。

 

【転勤命令ができる条件】
労働契約を結ぶ際には、「就業の場所」や「職務の内容」など重要な労働条件をきちんと説明する必要がありますが、「転勤の可能性があるかどうか」も明示しなければなりません。
この際に、勤務場所を限定していたのであれば、転勤命令は認められないでしょう。

逆に、そのような特約をしていない場合で、長期の雇用を見込んで期間の定めのない契約(※)を結んでいる時は、一定の期間が経過して条件がそろえば、会社は業務命令として社員の職務内容や勤務地を変更する権限を有すると考えられています。※いわゆる正社員としての雇用契約

その条件とは、次のようなことです。

  1. 就業規則、雇用契約書などに、転勤を命じる場合があることを明記していること
  2. 業務上の必要性、合理性があること
  3. 場合によっては前例があること

まずは、
1.就業規則や雇用契約書に転勤の可能性について記載されていることが求められます。
そして2.人員の適正配置や、会社組織編成の変更、組織活性化等の目的で人員を移動する必要性がある、対象者の選定に一定の合理性があることも必要でしょう。
さらに、3.その会社で同じように転勤命令が慣習化されているという状況も場合によっては必要です。

 

【転勤命令が無効になる場合】
これらの条件が整っている場合、原則として社員は特別な事情がない限り転勤命令を拒否することはできません。
ただし、次のような場合にはその転勤命令は無効となることもあるでしょう。

  1. 業務上の必要性もなく転勤を命じる場合
  2. ほかの不当な目的で転勤を命じる場合
  3. 転勤命令が、社員に通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせる場合

会社は転勤の命令権を持ちますが、持病を持つ者や家族の介護をしている者など、私生活上特に配慮が必要な社員に対する転勤命令は慎重に判断する必要があるでしょう。

職種の変更について   [ 2013.03.26 ]

従業員の職種を変更するとき、契約とは異なる職種に配置転換できるのでしょうか。

当初の契約時の特約により職種を限定している場合、配置転換ができないこともあります。
しかし、通常は、常識的な理由があり、雇い入れから一定期間を経ていれば配置転換は出来ます。
ただし、できれば事前に労働者と話し合い、同意を得たほうが望ましいと言えます。

 

【労働条件の明示義務】
労働基準法第15条では、労働契約を結ぶ際には、賃金や労働時間と言った重要な労働条件を労働者に明示しなければならない「労働条件の明示義務」が定められています。

そして、この重要な労働条件には「労働者が従事すべき業務=職務」も含まれており、原則として、会社はここで明示した業務以外に就くように労働者に命じることはできません。

ただし、この労働条件明示は、あくまでも「雇入れ当時の労働条件」を示したものと解されています。
時間経過や労働者の適性、会社・社会情勢などの変化により、常識的な範囲での職務の変更・配置転換はむしろ自然なことであり、「この職種限定」「この地域限定」といった職務や地域を限定した特約がない限りは、会社は配転や転勤を命じることが出来ます。

この配置転換命令によるトラブルを未然に防ぐためには、労働条件通知書・雇用契約書などで配置転換の可能性について説明しておくとよいでしょう。

 

【賃金が下がるときは注意が必要】
職種転換が可能とはいえ、転換により賃金額が変わる場合には注意が必要です。
なお、減額になる場合は特に気をつけましょう。

その職種に就いていたから支給していた手当(例えば看護師という職種に対して支給される「看護師手当」など)について、職種から外れたことにより手当がなくなり、大幅に減額した場合、労働者の反発が予想されます。

労働者と「労働条件の不利益変更」について争うことになった場合、「なぜその職種から配置転換したのか」「その労働者を選んだことに合理性があるか」などを会社は主張しなければなりません。
月次賃金の総支給額の減少については、以下のように対応して慎重に行いましょう。

  1. 配置転換に関する可能性を事前に話し、合意を得る
  2. 能力不足・適性による配置転換の場合、改善の機会を与える
  3. 変更後の職種における教育機会を与える

出向に関する労働者の同意について   [ 2013.03.24 ]

社員を出向させるとき、社員の同意は必要なのでしょうか。

原則として、社員の同意がなければ出向させることはできません。
ただし、就業規則・出向規定・労働協約などで出向命令の可能性や内容を定めており、包括的に同意があるとみられる場合は、社員の同意なく出向を命じることが出来ます。

 

【原則的には労働者の同意が必要】
社員は、労働契約によって会社の指揮命令下で働く義務を負っているに過ぎません。
そのため、他の会社(出向先の会社)の指揮命令下で働くことを一方的に命じることは原則として許されず、社員の同意が必要になります。

ただし、必ずしも個別的な労働者の同意を得る必要はなく、包括的な同意があれば、出向命令は認められます。

 

【包括的同意とは】
会社の就業規則・出向規定・その他労働協約などで、「会社は、業務上の都合により社員に出向を命じることがある」旨の規定があり、その規則などが適法に届出などされ、または契約として成立していれば、出向命令の可能性について労働者が全体として同意していると考えることが出来ます。
このことを包括的同意といいます。

ただし、出向による「個別の労働条件変更」は原則としては「画一的・集団的な明示」ではあまりに乱暴とみられることもあります。
つまり、ただ「出向の可能性があります」だけでは十分とは言えず、規定には「出向先、出向期間、出向先での労働条件、出向元への復帰に関する事項など」の具体的事項について定めることが望ましいでしょう。

いずれにせよ、この包括的同意があることで、労働者の同意を得ずとも出向命令をすることができます。

 

【できれば同意を得ることが望ましい】
ただし、出向は以下のような変更を伴うため、労働者によってはストレスを感じることもあるでしょう。

  • 通勤にかかる時間
  • 賃金など労働条件
  • 職務内容
  • 企業文化

そのため、できれば出向の必要性や条件などをきちんと説明して理解を求めるのが望ましいでしょう。

以上、出向に関する労働者の同意についてでした。

退職社員に資格取得費用の返還請求はできるか   [ 2013.03.22 ]

はじめに
資格や技能を取得させるため会社で費用を負担したのに、取得後その社員がすぐに退職してしまうと、会社は社員教育に投資をした意味がありません。
このような場合、資格取得費用を返還させることはできるのでしょうか。

関連する法律
社員に対する資格取得費用などの返還については、労働基準法で以下のように定められています。

【第16条】使用者は、労働契約の不履行について違約金を定めたり、損害賠償額を予定する契約をしてはならない。

          ※違約金:約束を破った(契約不履行の)場合、実害の有無に関わらず支払わなければならない金銭
          ※損害賠償額の予定:債務不履行の場合に実害額に関わらず一定額で支払う予定

民法では契約違反に対する損害賠償額の予定を認めていますが、当事者間に交渉力の格差がある労働関係では、労働者の足留めや強制労働に繋がるなど弊害が大きいため、民法の特例としてこのように規定されています。

会社は研修などの費用を無駄にしたくないため、資格取得後一定年数の勤続を義務づけ、違反者には費用返還を求めたいところでしょう。
しかし、そのルールがあると、社員から「退職の邪魔をしている」と思われるかもしれません。

なお、資格取得費用の返還請求が労働基準法第16条に違反するかどうかは、主に以下2点を基準に判断されます。

1. 研修費用を「支給した」のか、「貸した」のか
2. 条件が「不当な拘束」となるか

【1. 研修費用を「支給した」のか、「貸した」のか】
会社が資格取得などの費用を支給した場合、資格取得後に継続勤務をしない際に返還を求める行為は「違約金を定めること」とみなされ、労働基準法第16条に抵触します。

一方、会社が費用を貸した場合は、「一定期間の勤務や状況により費用の返済を免除する」という特約付きの金銭消費貸借契約を締結して会社が費用を立て替えるものであるため、原則として同条の違反とはなりません

資格取得費用貸付制度としては、例えば下記のように段階的に免除割合を設定し、資格取得後1年~3年程度の勤務をもって全額を免除する仕組みを設けることができます。

<貸付費用免除の段階例>

資格取得後の継続勤務期間

免除の割合

満1年以下

0%

満1年超2年以下

1/3

満2年超3年以下

50%
満3年超 100%

 【2. 条件が「不当な拘束」となるか】
ただし、前述の貸付制度自体に無理がある場合は、同条違反となる恐れがあります。
例えば、
①免除に必要な就労期間が長すぎる場合
②返還請求金額が合理的な実費を超えている場合
③貸付申込が労働者の自由意思ではない場合
などは、労働者を不当に拘束している可能性があります。

また、業務に必要な基礎的技能を付与する場合、教育費用は会社が負担するべきものとなり、労働者に研修費用を払わせる条件自体に合理性が認められないこともあります。

職制の部下に対する権限について(6)   [ 2013.03.20 ]

6.安全衛生管理権限

職制の6番目の権限は、安全衛生管理権限です。

部下がその業務を「安全」かつ 「健康(衛生的)」に遂行するよう配慮しなければならず、その業務に起因して事故や疾病(職業性疾病等)を発生しないよう注意しなければならないという、いわゆる「安全配慮義務」を負っています。


 ― 安全配慮義務 ―
平成20年3月に施行された労働契約法で明文化されたものです。
同法第5条は、
使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働する
ことができるよう、必要な配慮をするものとする

と、使用者の労働者に対する安全配慮義務(健康配慮義務)を明文化しています。

危険作業や有害物質への対策はもちろんですが、メンタルヘルス対策も使用者の安全配慮義務に
当然含まれると解釈されています。

つまり、通常の事務作業でも長時間労働をさせられるとか、上司から不合理な過度の叱責を繰り返
されるとか、職場でひどい”いじめ”を受けるとか、そのような危険を受けないように労働者の安全に
配慮しなければならないのです。

労働契約法には罰則がありませんが、安全配慮義務を怠った場合、民法第709条(不法行為責任)、
民法第715条(使用者責任)、民法第415条(債務不履行)等を根拠に、使用者に多額の損害賠償を
命じる判例が多数存在します
企業は、この安全配慮義務に違反して、労働者が精神を病んだり、受傷した場合には下記の例の
ように損害賠償責任を負う可能性があります。

安全配慮義務と健康配慮義務に関する判例

事例1 システムコンサルタント事件
最高裁判所第二小法廷 平成12年10月13日 労判第791号

【概要】
Aさんは、ソフト開発会社でシステムエンジニアとしての業務に従事していた。
入社以来、年間総労働時間は平均して約3,000時間近くに達していた。
Aさんは、就任してから死亡するまでの約1年間、プロジェクトリーダーとしてプロジェクトの
進捗管理、要員管理、品質管理及び発注元及び協力会社との調整作業にあたっていた。
クライアントと作業者の間での板挟み状態の中、労働時間だけでなく、精神的負荷まで強い
られることとなった。

その後、Aさんは、自宅で倒れ、直ちに病院に緊急搬送されましたが、脳幹部出血により死亡。

【裁判の結果】
安全配慮義務を尽くさなかった債務不履行がある旨主張し、逸失利益・慰謝料等の損害賠償を
求めました。
第2審は3,200万円の損害賠償責任を認めました。

事例2 電通事件
最高裁判所第二小法廷 平成12年3月24日 労判第779号

【概要】
Bさんは、24歳で電通に入社しました。ラジオ局に配属され企画立案などの業務に携わっていた
が、長時間残業・深夜勤務・休日出勤などの過重労働が続いた結果、うつ病になり、自宅で自殺。

【裁判の結果】
下記の内容で合意に至りました。
(1)会社は遺族(両親)に謝罪するとともに、社内に再発防止策を徹底する
(2)会社は一審判決が命じた賠償額(1億2600万円)に遅延損害金を加算した合計
1億6800万円を遺族に支払う

職制の部下に対する権限について(5)   [ 2013.03.18 ]

5.人事権と勤務変更権限

職制の5番目の権限は、人事権と勤務変更権限です。

労働契約は、

「一般に特別の合意がない限り、労働者は自己の提供する労働力の使用を包括的に使用者に委ねるものであり、使用者は、この契約上の権限に基づき労働者の給付すべき具体的労働の種類、態様、場所などを個別的に決定し、またはその変更を命じ得る」と

いうのが判例、通説です。


これは配転等に類似した出向の場合も同じです

労働者は「転勤しない」とか「業務を変更しない」とかを特に約束していない限り、「私は、会社の命ずる場所で命ずる仕事をします」という約束の下に採用されています。

したがって、使用者の転勤や配転命令等に労働者は原則として従わなければならないのです。

また、一定の人事権を各職制に分配して行使することもできます。
会社の定めにより、課長であれば課内の係の異動や担当業務の変更についての人事配置権限を有することもあります。

また、日常の勤務の設定・変更や従業員の勤務編成とその変更権限も使用者にあります
使用者が企業運営の状況等に応じて新しい勤務形態や勤務時間制度を設定し、それに基づく勤務を命ずることは、包括的に委ねられた労働力の処分権限の行使ですから、その命令が濫用(いきすぎ) にわたるものでない限り、労働者はそれに従う義務があるのです。

ただし、この権限を就業規則などで明文規定しておくことも必要です。

職制の部下に対する権限について(4)   [ 2013.03.16 ]

3.職場秩序維持権限

職制の3番目の権限は、職場秩序維持権限です。

企業は複数の従業員を有機的に組織し、協同関係に立って一体となって運営されています。
そこで従業員一人一人が勝手な行動をしてはその存立はあり得ませんし、それが乱れると企業の運営はたちまち危機に陥ってしまいます。

判例でも、複数の従業員の労務提供が「有機的に行われる現代の企業のもとにおいては、なによりも職場における規律と協同が重んじられ」、
「企業秩序は、多数の労働者を擁する企業の存立、維持のために必要不可欠」であり、
使用者は「経営秩序を維持し、生産性の高揚を図るために、労働者の秩序違反」について「就業規則等に基づき懲戒処分を行うこと等によって乱された企業秩序を回復、保持」することが認められています。

4.施設管理権限

職制の4番目の権限は、施設管理権限です。

従業員は、労務を提供するために事務所や店舗や工場の構内に入構することになりますが、その敷地、建物、施設、機械装置等は、企業が所有し、占有するものですから、企業の意に反して、自分勝手に自由に利用するわけにはいきません。

従業員は、このような企業の所有権、占有権等の物的管理権限に服することになります


 また、これらの施設は企業目的に供されているのであり、企業の存立と維持は物的施設と人的な労働力との有機的な統合で成り立っていますから、施設の管理は単に物に対してのみではなく、これを利用し使用する人に対しても必要なので、

施設管理権限の中には、物的管理権限と同時に、利用する従業員に対する人的管理権限も含まれています

例えば、判例の次のものが対応します。
「一般に労働者は休憩時間といえども、その勤務する事業所または事務所内における行動については、使用者の有する事業所等の一般的な管理権に基づく適法な規則に服さなければならない」

職制の部下に対する権限について(3)   [ 2013.03.12 ]

2.業務命令権限

職制の2番目の権限は、業務命令権限です。

業務命令とは、使用者が業務遂行のために従業員に対して行う指示や命令であり、業務指示権、業務命令権という概念に基づくものとされています。
その根拠は、労働契約に基づくものと考えられています。
労働契約での「労働者が労務を提供する際に、使用者がその提供する内容について指示、命令することがある」との約束、合意があったということです。
 これが業務命令であり、使用者は労働契約に従った業務命令権を有することとなります。

また、「命じうる業務命令の内容は、労働契約上明記された本来的業務ばかりでなく、労働者の労務の提供が円滑かつ効率的に行われるために必要な付随的業務も含む。」とされています。

具体的な業務命令権の内容や範囲は、労働契約の内容たる就業規則に定められることになります。
「従業員は会社の命ずる異動、職務の変更等に応じなければならない」というような定めが一例です。

これらの定めがある場合、会社は業務命令として異動等を命ずることができ、もし労働者が拒否すれば業務命令違反となります。
懲戒規定があれば処分もできます。
その他、日常業務全般についても、必要があれば指示、命令することもできます。

「これやってね」と言ってダメなら、「これは業務命令である」と一言添えれば、懲戒もあり得る強い命令になります。

このように、使用者には幅広い業務命令権がありますが、自ずと限界があります。

「労働者の人格、権利を不当に侵害することのない合理的と認められる範囲のものでなければならない。」のです。
この合理性の判断は、総合的に判断する必要があります。」

例1
バスの運転士が脱帽乗務をしたで減給したことについて、制服・制帽の着用は、運転士に対し、その任務と責任を自覚させ、乗客に信頼感を与えるもので、これを強制する就業規則等の規定には合理性がある。

例2
トラックの運転者が頭髪を黄色に染めたこと自体が就業規則上直ちにけん責事由に該当するわけではない。
(トラックの運転手がお客に接する機会が少ないことから。)

 さらに、仕事はその労働者一人だけで行うものではなく、同僚や上下の担当部署にある従業員とともに協同して遂行しなければならないものですから、協同・協調し、一体となってその職場の規律に従って働くという点も重要な要素なので、このために協同遂行に関する必要な指示、命令も業務命令の中に入ってきます
 

いずれにしても、通常と異なる命令をするときは、その必要性や内容について、今一度考えてから命ずることが大切です。

どうしても業務と関係の薄い事を命じるのであれば、あくまでもお願いとのスタンスで行うべきです。
「○○してくれると有り難いな~」と匂わせ、従業員が「私にやらせて下さい」と自ら名乗り出る形であれば、違法はともかく多少不当な事案なら通せることもあります。
ただ、これが元でヒイキしすぎると、他の社員の恨みを買うので程々に。

職制の部下に対する権限について(2)   [ 2013.03.10 ]

1.教育指導権限

職制の地位についた場合に心得るべき第一は、部下に対する教育指導です。

従業員は、通常、いわゆる新規学卒者を採用するので、労働者としての心得や基本的な義務などの教育を受けていない者が採用されます。
このような新卒者をして、企業内でOJTを中心にして育成していくというのが実態です。
たとえばあいさつの仕方、電話のかけ方等、全く知らないことを前提で採用しますので、職制や上司にとつては部下に対する指導教育が重要となります。

その後も、成長に応じて企業内で教育を施し、指導し、育成しながら、企業内キャリア形成システムに従い昇進・昇格させ、特別なことがなければ定年まで雇用をしていくシステムになっています。

特に採用直後の試用期間中は、従業員しての適格性の判定期間であるとともに企業に適した労務の提供ができるように教育指導し、一人前の労働者に育成するという「教育期間」でもあるのです。
これまでの判例から従業員として不適格であるから本採用をせず、解雇するという場合にも、「よく教えましたがとても駄目です!」ということでないと本採用拒否による解雇の正当性は成り立ちません。

つまり、教育指導を含めた本人を活用する打ち手をしっかりやった後ではないと解雇ができないのです
 
ただし、職種や職務を特定したり、管理職のポストを前提とした試用期間付の中途採用者については、そこまでの教育義務はありません。

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