人事労務情報

「退職証明書」の意味と記載に関する注意点   [ 2013.09.26 ]

会社では、退職者や退職願を受理した従業員から請求があった場合には、すぐに「退職証明書」を発行しなければならないということが義務付けられています。

この「退職証明書」とは、労働基準法で以下の様に定められたものです。

根拠となる条文:

(退職時等の証明)

第22条

労働者が、退職の場合において、使用期間、業務の種類、その事業における地位、賃金又は退職の事由(退職の事由が解雇の場合にあっては、その理由を含む。)について証明書を請求した場合においては、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければならない。

つまり、前職で働いていた条件などを証明するものです。労働力の移動への障壁が低くなりつつある現在では、再就職先でこの退職証明書の提出を求めるケースもそう多くはないと思われますが、それでも「退職者本人が求めれば」会社はこれらを証明しなければならないという決まりになっています。 

退職証明書に記載する内容:

退職証明書に記載する内容は下記のとおり法律で決められていますが、「退職者が請求していない項目は記載してはいけない」という点に注意が必要です。

1、 勤務していた期間

2、 業務の種類

3、 会社での地位

4、 給与

5、 退職の事由(解雇の場合はその理由も含む)

例えば、5、退職の事由について「書いてほしくない、証明してほしくない」と退職者から申出があれば、その内容は記載してはいけないことになります。

ちなみに、退職証明書を請求できる期間が決まっています。

請求できる期間は退職後2年以内です。

この点で、退職しても2年間は、元従業員の情報は保管しておかなければならないということになります。

仕事中にケガをした場合の対応について   [ 2013.09.22 ]

仕事中にケガをした場合は労災となります。

従業員が仕事中にケガをしたり、仕事が原因で病気になった場合、これは「業務上」の災害となります。どのような場合に「業務上」となるのでしょうか。

 業務上の判断基準:

「業務上」かどうかは次の2つで判断します。

1、 業務遂行性

仕事をしている最中であったか

2、 業務起因性

ケガや病気の原因が仕事にあるか

補償内容:

労災には例えば下記のような補償があります。

・労災で病院にかかったときの診察料

・その間会社を休んだ際の休業補償

・障害を負ってしまった場合や死亡してしまった場合の金銭的補償

労災はアルバイトも対象となるか:

労災の対象となる従業員はパートタイマーやアルバイト、月1回しか勤務しないような従業員までも含まれます。

判断が難しい「病気」の労災認定:

ケガであれば、すぐに労災かそうでないか判断がつきやすいですが、問題は病気です。

たとえば、勤務中に脳梗塞で倒れてしまったとき、その原因が仕事なのかすぐにはわかりません。近年注目されているうつ病などの精神疾患もその判断が難しいでしょう。

病気による労災認定については、長時間残業やパワハラ・セクハラ等ともつながる問題であるため、慎重な対応が求められます。

労災をかけていれば安心とは限らない:

会社には労災加入義務だけでなく、労働者の安全に気を付ける義務(=安全配慮義務)があります。

この意味で、労災が起きてしまった場合、「労災=会社が安全に気を付けなかった責任がある」という図式が成り立ち、特に障害や死亡にまで至ってしまった場合、安全配慮義務違反という理由から、本人やその家族から損害賠償請求をされる可能性があります。この場合損害賠償額は近年特に高額化する傾向にあるため、安全配慮にも十分に気を付けたいところです。また、労災上乗せ補償などの保険加入も検討してみてください。

通勤途中の災害も補償されます。

ノーワーク・ノーペイの原則   [ 2013.09.20 ]

   労働者の労働に対して、会社は給与の支払い義務があります。逆に労働がなかった部分に関しては、会社は給与を支払う必要はありません。これをノーワーク・ノーペイの原則といます。従業員が遅刻や欠勤をした場合、会社はその部分に関し、給与を支払わなくても良いのです。

公共交通機関が原因で遅刻をした場合は、遅刻扱いにしないという会社もありますが、法律でそのように取り扱うことが定められているわけではありません。従って、どのような理由であれ、遅刻分の給与を支払わないことに問題はありません。

しかし、「遅延証明書があれば遅刻扱いにならない」と考えている場合が多いので、事前に周知させておくことが大切です。

しかし、このノーワーク・ノーペイの原則にも例外があります。「働けない原因」が会社にある場合です。もともと、出勤予定であったのに働けなくなると、従業員は1日分の給与を受け取ることが出来ず、給与がもらえないことは従業員の生活を脅かすこととなります。よって、休業の責任が会社にある場合には、1日につき平均賃金の60%以上を「休業手当」として支給しなければなりません

「休業手当」の支払い義務が生じるのは、「働けない原因」が会社にある場合にのみです。地震や台風などの天災事変の不可抗力によるものや、法令に基づく休業(新型インフルエンザに罹患した従業員を休ませる等)は、会社の責任ではないので、「休業手当」の支払いは必要ありません。

では、経営悪化によって従業員を休ませる場合はどうでしょうか。原料や資金不足による休業、親会社の経営難により資材が獲得できず休業、監督官庁の勧告による操業停止、いずれも原因は会社にあるとされます。したがって、経営悪化の休業は「休業手当」の支払い義務が生じます

以上、ノーワーク・ノーペイの原則についてでした。

賃金や労働時間などの労働条件は口頭の説明だけでいいのでしょうか?   [ 2013.09.18 ]

労働条件の書面通知義務:

労働条件のうち、勤務時間、契約期間、給料といった重要な事項については、雇入れ時に書面での条件通知をしなければなりません。後々に労働条件を巡る労使トラブルが起こらないためにも、書面の交付または取り交わしをしましょう。

書面で通知しなければばらない事項

1、労働契約の期間(契約期間がある場合は、労働契約を更新する場合の基準)

2、就業の場所・従事する業務の内容

3、労働時間に関する事項(始業・終業時刻、早出や残業など所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇、労働者を2組以上に分けて就業させる場合の就業時転換に関する事項

4、賃金の決定、計算、支払い方法、賃金の締切・支払いの時期

5、退職に関する事項(解雇となる事由も含む)

 

また、パートタイマーには下記3つの内容も書面にて通知しなければなりません。

1、昇給の有無

2、退職手当の有無

3、賞与の有無

 

※口頭でも構わないが、必ず通知しなければいけない事項

・昇給に関する事項

 

会社で決まりがある場合には書面で通知しなければならない事項

・退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算・支払い方法および支払い時期

・臨時に支払われる賃金、賞与および最低賃金額に関する事項

・労働者に負担される食費、作業用品などに関する事項

・安全・衛生に関する事項

・職業訓練に関する事項

・災害補償、業務外の傷病扶助に関する事項

・表彰・制裁に関する事項

・休職に関する事項

 

労働条件通知書の保管方法

労働条件通知書は写しをとって会社に保管しておきましょう。

また、労働条件通知書は会社から労働者への一方的な通知ですが、その説明を労働者が受けたことを記録するために、労働者の署名などをもらっておくと尚良いでしょう。

社会保険調査では何を調べられるか   [ 2013.09.17 ]

 社会保険調査とは、年金事務所が会社に対して社会保険料を適切に納めているかを確認する調査です。この調査は、加入漏れや給与変更に伴う保険料変更手続きのし忘れなどの不適切な処理を発見し、正しい保険料を徴収するために行われます。

調査で確認される主なポイントは、①加入漏れ と②報酬金額 です。

(①加入漏れの確認

まず、タイムカードから出勤状況がチェックされます。社会保険の加入基準は正社員の4分の3以上ですので、基準を超えて働いているパートがいないかチェックされます。一般に正社員は法定労働時間上限の「週40時間労働」のことが多く、この4分の3である「週30時間以上」働いている形跡がある場合、加入漏れの可能性を指摘されるでしょう。

さらに、源泉税納付書、賃金台帳、算定基礎届などの過去の届け出書類から、社会保険に加入すべき社員がきちんと加入しているかチェックされます。例えば源泉所得税納付書で30人の給与支払実績がありながら、社会保険加入者が10人であるなら、残り20人が社会保険非該当であるかを説明できなければなりません。

 

(②報酬金額の適正の確認

また、報酬金額が正しく届出されているかも要チェックです。例えば給与額が30万円でありながら社会保険の標準報酬月額が20万円であるなら、その10万円の差額は指摘を受ける事項となるでしょう。

未加入者が発見された場合、過去2年遡って保険料負担が発生することがあります。保険料は本来、会社と社員が折半するものですが、会社の不手際で未加入であった場合、社員から折半の同意を得られるかはわかりません。

調査で指摘されたことを無視し続けた場合は、最悪財産を差し押さえられることがあります。無視をした以後は立ち入り調査の対象となり、ずっと目を付けられます。調査の結果、多額の保険料納付義務が発生したものの支払を無視し続ければ、差し押さえの可能性もあります。

 

会計検査院の調査

また、年金事務所が独自に行う調査のほかに、会計検査院の調査もあります。会計検査院の調査は、年金事務所が適切に業務を行っているか調査するため、非常に厳しくなります。社会保険調査の案内通知書を見れば、年金事務所か会計検査院のどちらの調査かが判断できます。会計検査院の場合、「今後加入を検討します」という回答は通りません。その場で書類を書かされる場合もあり、経営が苦しい会社にとっては死活問題となります。

社会保険調査に当たった場合上記の調査項目を中心に事前確認をしてください。

試用期間と契約期間について   [ 2013.09.16 ]

【試用期間】

試用期間は必ず設定しなければいけない項目ではありません。しかし、会社に適性があるか見極める期間として、多くの会社で試用期間を設けています。

この試用期間の長さは、会社で独自に決めることができます。しかし、あまりに長すぎると、従業員はいつ正社員になれるのか、不安を抱えたまま仕事をすることになります。一般には1年未満、できれば3~6か月が一般的でしょう。また、従業員の適正に応じて、試用期間を短縮・延長できるような制度をつくると良いでしょう。

【雇用契約期間】

期間を定めた雇用契約は、原則3年以内でなければなりません。契約期間を最大の3年とした場合、会社は3年間必ず雇用しなければなりません。従業員側は、3年間は働ける保障になります。

では、会社側に3年の雇用義務が生じる場合、従業員は3年間退職出来ないのでしょうか。法律では、従業員は契約開始から1年間を過ぎれば、退職の申し出が可能となっています。

雇用契約の原則は3年以内ですが、満60歳以上の労働者、医師や税理士等の例外的な職種の人は5年以内での契約期間が認められています。しかし、この例外となる人の場合、通常の契約社員と違い、雇用契約から1年間を過ぎても退職の申し出はできません。

また、道路工事などの事業の完了に5年を超える期間が必要な場合は、5年を超える契約期間が認められています。

契約の更新を繰り返している場合は、注意が必要です。更新を繰り返し、通算で5年を超えて更新した場合、従業員からの申し込みがあれば、期間の定めのない契約に転換しなければなりません。会社が認めるか認めないか問わず、従業員の申し込み時点で会社が承諾したとみなされます。

契約を更新するときは注意しましょう。

求人募集の時に気を付けるべき注意点   [ 2013.09.15 ]

1、 求人募集は「老若男女問わず」

法律では次のように定められています。

①応募条件には、年齢や性別などに関係なくすること。

②応募の機会は平等に与えること。

この意味で、応募できる人を限定してしまう募集内容はいけないことになります。

男女差別の禁止

女性だけ、男性だけの募集もいけません。

また、男女問わず募集はしたものの、男性は面接のみにもかかわらず、女性の場合は面接の他に測定もして、採用を決定する基準に男女で違った方法を設けるということもいけません。

男女別の募集人数を決めることもいけません。

男性2人女性1人募集というような男女別の採用人数を決めたうえの募集をしたり、応募者の中から男性だけを先に面接して採用者を決め、その後に女性を面接する方法も男女平等ではないのです。

ただし、特別に女性だけの募集を限定してもいい場合があります。それはつまり、「男女の人数構成の偏りを是正する目的で」女性を積極採用する(=ポジティブアクション)場合です。

例えば、正社員の割合が男性9割女性1割の会社では女性が4割程度となるまで女性だけを募集してもよいでしょう。

年齢による差別禁止

65歳以下の募集には必ず、その理由も示しましょう。その際に「定年が65歳」と記載すれば、理由になります。

2、 求人募集の方法について

求人の方法はいろいろあり、どんな人が集まる媒体なのかで選んでみるとよいでしょう。

下記の方法があります。

但し、助成金の関係でハローワークからの求人が必須となる場合もあります。これは、確認が必要です。

・ハローワーク

・インターネットの求人サイト

・駅などに設置してあるフリーペーパー

・新聞折り込み求人広告

・有料職業紹介事業からの斡旋

・新聞社や人材会社が運営する転職フェアへブース出展

以上、求人の募集についてでした。

残業手当の基になる賃金とは   [ 2013.09.14 ]

賃金の中には〇〇手当と細かく金額を決めて支給される場合があります。様々な名称がある賃金の中で、残業手当の基となる賃金は何でしょうか。

残業手当の基となる賃金は、以下7つ以外の賃金と法律で定められています。

家族手当

通勤手当

別所手当

住居手当

子女教育手当

臨時に支払われる賃金(賞与等)

1か月を超える期間ごとに支払われる賃金(3が月に1度の皆勤手当て等

この7つが残業代の基とならない理由は、労働との直接的な関係が薄く、個人的事情に基づいて支払われるという理由からです。

残業代とならない賃金は7つに限定されています。したがって、この7つ以外を残業代の基としないことは違法となります。

逆に、上記7つと同じ名称がついていたとしても、実態が異なっていれば残業代の基となります。例えば、「家族手当」や「通勤手当」という名称であっても、家族の人数や通勤距離に関係なく一律に支給される場合は、残業代の基です。

残業代を計算する場合は、上記7つの賃金を除いた合計を所定労働時間で除して1時間当たりの単価を出しましょう。

例えば、1ヶ月の所定労働時間を160時間としましょう。賃金は、基本手当20万、職務手当3万、地域手当1万、家族手当2万、住宅手当2万、通勤手当2万です。

この場合、すべて合計すると30万になります。しかし、家族手当2万、住宅手当2万、通勤手当2万は残業代の基となりません。よって、6万円は除きましょう。

したがって、残業代の労働時間単価を出す計算は、以下のようになります。

(30万‐6万)÷160時間=1500円

残業代の基になるのか、ならないのか、改めて見直してみましょう。

接待でお酒を飲む事は業務か   [ 2013.09.13 ]

ある種の仕事には接待(お酒の席)がつきものです。この接待については、どこまでが仕事でどこからがプライベートなのでしょうか。

仕事が関係ない飲み会はむしろ少ない:

人によって程度の差はありますが、社会人が飲み会に参加する場合、仕事の同僚や取引先と飲む割合が少なくないでしょう。ただし、仕事の関係者と飲む事が全て業務とも考えられません。

判断基準:

酒席が業務かそうでないかは、状況により異なりますが、例えば次のような要件を考慮しなければなりません。

1、 会社の命令の有無

2、 時間帯

3、 場所

1、会社の命令の有無

最も重要な要件は、「会社命令があるか否か」です。取引先との親睦を深める目的、または社内のコミュニケーション機会のために会社が参加を強制している場合は、業務の性格が強いと言えるでしょう。

2、時間帯

飲み会が二次会三次会にまで及ぶ場合や、深夜に行われていた場合、それが業務としての必要性を認められない場合も出てくるでしょう。例えば深夜まで接待していたのなら、「通常業務の終了が遅く、飲み会の開始も遅かった」などの理由が必要となります。 

3、場所

飲むためにあちこち移動した等は業務上の必要性を認められない可能性があります。

  飲み会業務中ということであれば、その会の最中に起きたケガや飲み過ぎによる急病は労災保険の対象にもなり得ることになりますので、会社側としては安全配慮に気を配らなければなりません

裁判員となった時の取り扱い   [ 2013.09.12 ]

平成21年5月から、裁判員制度が始まりました。

裁判員に選ばれた場合、裁判所から「呼び出し状」が送付されます。呼び出し状が届いた場合、辞退が認められなければ、指定された期日に裁判所に行かなければなりません。理由もなく欠席した場合は、10万円以下の過料に処せられる場合があります。

つまり、出社日と呼び出し期日が重なれば、会社を休まなくてはなりません。そして、会社はこれを拒否できません。なぜなら、裁判員に選ばれて裁判所に行く時間というのは、選挙の投票と同じ、労働基準法7条の「公民権行使の時間」にあたるからです。

公民権行使の時間を、有給とするか、無給とするかは会社の就業規則等で定める方法によります。労働基準法では、公民権行使の時間に対する賃金の取り扱いは特に定められていません。統計によると、現状では裁判員として参加した場合「有給扱いとする」会社が8割を占めます。また、特別休暇制を導入している会社は6割です。

裁判員として公務に当たった日については日当が支給されますが、それに加えて有給で処理する予定のケースが多いようです。

社員のだれもが裁判員になる可能性があります。そのためにも、社員が気兼ねなく裁判所に行けるよう、裁判員に選ばれた場合の休暇等取り扱いを明確にした方が良いでしょう。そのために、裁判員等の休暇規定を作成してみてはいかがでしょうか。

休暇に関する規定を作成する場合、1日単位の付与でなくても、裁判員として要した時間分だけ休暇を与えても問題ありません。

同時に、慣れない裁判員の仕事について精神的に負担があるかもしれません。裁判員休暇明けの勤務には一定の配慮をできると尚いいのではないでしょうか。

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