人事労務情報

労働基準監督署の臨検の種類   [ 2013.10.31 ]

「労働基準法などの労働関係諸法令を守っているかをチェックするために、労働基準監督官が会社に立ち入り調査をすることがあります。この調査を「臨検」といいます。この臨検には主に3つの種類があります。

1. 定期調査

最も一般的な調査で、臨検のほとんどはこの定期監督に該当します。

年度ごとに重点的に調査する業種等を決めて行われるようです。

定期調査で調べられる項目の相場は大抵決まっていて、

①労働時間は多すぎないか、休日数は適法か

②残業など割増賃金の計算方法は適正か

③36協定(時間外協定)を届出しているか

④就業規則は適法に整備されているか

⑤労働者名簿、出勤簿、賃金台帳は適法なものが備え付けられているか

⑥健康診断を毎年実地しているか

のような労働基準法や労働安全衛生法の違反はないかを調査します。調査の対象となる会社は、ある意味ランダムに決められます。特に法違反の事実を掴んで調査されるものではありませんので、必要以上に心配しなくてもよいものです

2. 申告調査

従業員や退職者が「会社は労働基準法違反をしている」など直接労働基準監督署に申告(内部告発)したときにその内部に基づいて調査をします。従業員や退職者が会社に改善を求めるために労働基準監督署へ申告し、その内容を確認するための調査をします。

労働基準監督署へ申告する人は、在職者より退職者のほうが多いようです。労働基準監督署に申告があった場合はほぼ100%の確率で臨検されます。

3.災害時調査

労災が起こった場合に、その災害の実態確認や原因究明、再発防止のために調査します。

 

臨検の連絡があった場合も慌てずに、社会保険労務士等専門家に相談し、善後策を検討しましょう。

派遣と請負の違い   [ 2013.10.27 ]

〈派遣〉

派遣とは、派遣元会社自身が雇用している従業員に、派遣先で働いてもらう仕組です。派遣社員の雇用主は派遣元会社となります。しかし、実際に働いてもらう場合には、派遣先での指示に従います。

つまり、派遣元会社と派遣社員が雇用契約を結び、指揮命令は派遣先(受け入れ側)が行う、派遣会社と派遣先は派遣契約を結ぶ、という三角関係になります。

〈請負〉

請負は派遣と似ていますが、指揮命令の部分で異なります。

請負は、仕事を完成させることを約束し、仕事の結果に対して報酬をもらう契約です。ですので、仕事を依頼する発注者と請負会社があった場合、発注者はどのような方法で仕事を完成させるか一切指示してはいけません。あくまでも仕事の完成だけです。

仕事のスケジュールを発注者が管理していたり、仕事の報告を発注者に行うことが義務付けられたりした場合などは、請負ではなくなります。途中で指示を行った場合は、「派遣」になってしまいます。

派遣社員の給与や労働保険料、社会保険料は派遣元会社の負担となります。従って、派遣先で時間外労働をしたとしても、割増賃金の支払い義務は派遣元会社にあります。派遣社員は派遣元会社と雇用契約を結んでいるためです。派遣先の会社は、派遣社員の働いた時間分の料金を派遣元会社に支払うだけとなります。

派遣を依頼する場合、下記業務は派遣が禁止されているので、注意が必要です。

①    建設業務
②    港湾運送業務
③    警備業務
④    病院・診療所での医療業務
⑤    人事労務関連の一定業務
⑥    弁護士・税理士・社会保険労務士等の士業の一部
⑦    管理栄養士の業務

セクシュアル・ハラスメントの境界線とは   [ 2013.10.25 ]

セクシャルハラスメント、いわゆるセクハラは、その境界が極めてあいまいで、正確な答えはありません。大きく言うと、性的な意味合いを持つ言動を「相手が望まなければ」セクハラとなります。Aさんに言われたらセクハラだけれども、Bさんなら問題ないというケースも当然の様にあります。

 セクハラには2種類あります。

1.対価型セクハラ

セクハラ被害者が、それを拒否したために解雇、降格、減給といった不利益を受けること。

2.環境型セクハラ

セクハラ被害者の就業環境が不快なものとなり、仕事に支障が出ること。 

セクハラというと、男性が加害者、女性が被害者というイメージですが、実際はどちらが加害者であってもセクハラとなります。男性が女性の言動を不快に思えばセクハラになります。年上の女性が、若手男性社員の男女交際関係をしつこく聞き、男性側が不快に思えばそれもセクハラでしょう。 

その他、「髪の毛切った?」「最近太った?」「女のくせに」「男のくせに」「キレイだね」などの言葉も、受けて手の気持ちによってセクハラになりえます。

セクハラの責任はどこにあるか

会社には、「従業員が働きやすい環境を維持する義務」があります。セクハラの発生を知りながらそれを放置する行為があるとすればそこには会社の責任を追及される可能性があります。

セクハラについての職場環境整備の具体的方法としては、例えば相談窓口の設置があります。セクハラの受け手が正直に事実を相談できる仕組みを備えた相談窓口にすることで、実態確認とセクハラ発生予防に努める姿勢が企業には求められています。

労働基準法における休憩時間の考え方   [ 2013.10.19 ]

労働基準法では、1日6時間を超えて働く場合には、休憩時間は必ず取らなくてはならないと定められています。1日6時間を超える場合は45分以上8時間を超える場合には1時間以上の休憩が義務づけられています。6時間を超えない場合には、休憩時間を付与する必要はありません。

この休憩時間は、1日の合計数なので、例えば、1日の所定労働時間が8時間の会社で、30分と15分と分割して休憩しても問題ありません。

さらに、休憩の与え方には、以下の3つの原則があります。

1、途中付与の原則

ですから、勤務終了時間前にまとめて休憩を取り、1時間早く退社する、ということは出来ません。休憩時間は、休憩後の仕事も頑張ってこなせるようにリフレッシュするための時間ですので、途中に取らなければなりません

2、一斉付与の原則

周りの人が休んでいないと、休憩を取りにくくなってしまいます。周りに気を使わないで休憩出来るよう、休憩は一斉に付与しなければなりません。しかし、接客業などでは、一斉に休憩をとってしまうと、接客が出来なくなってしまいます。下記の業種は、例外的に一斉に休憩を与えなくてもいい業種とされています。

①    運輸交通業    ②    商業

③    金融・広告業   ④    映画・演劇業

⑤    通信業          ⑥    保険衛生業

⑦    接客・娯楽業   ⑧    官公署の事業

他の業種でも労使協定を結ぶことで一斉に休憩を取らなくても良いことになっています。

3、自由利用の原則

休憩時間は自由に利用させなければなりません。つまり、電話番や接客応対を休憩時間にさせる場合、厳密には休憩の自由利用の原則に反することになります

ただし、自由利用の原則があるからといって何をしても良いというわけではありません。周囲に迷惑のかかる行為や、休憩後に支障の出る行為は行ってはなりません。

企業が守るべき安全配慮義務とは何か   [ 2013.10.13 ]

会社には、従業員の安全や健康に気を付けなければいけないという「安全配慮義務」があります。

・安全配慮義務違反とは

安全配慮義務とは、従業員が安全で健康に働くことができる環境を確保できるように配慮しなければならないという会社の義務を言います。

当HPでは、これまで何回も「安全配慮義務」を取り上げております。更に詳しい情報がご必要の方は、ホームでの検索ボックスに「安全配慮義務」を入力し、関連記事をご参照ください。

危険な作業で怪我をしないように気を付けることはもちろん、怪我以外でも長期間の残業や過度のストレスがかかるような状況がある場合には、会社はその状況を改善するように配慮しなければなりません

もし、安全配慮をすべき状況であるとわかっていながら会社が何も対策をせずに放置して、従業員が倒れてしまうようなことになってしまえば、会社は「安全配慮義務違反」として従業員やその家族から訴えられて、多額の損害賠償を請求されてしまう可能性もあります。安全配慮義務違反は、労働者側からの訴えの一つの拠り所となるものです。

安全配慮で特に注意すべき事項:

長時間勤務残業・休日出勤時間に特に注意すべきです。

長時間働いていたために心疾患や脳疾患を患い、またはうつ病を発症したり、最悪の場合、病気による死亡や自殺に至ってしまうケースなどがあります。

従業員がストレスを溜め込んで体調を崩すのは、その原因の全てが会社にあるとは限りませんが、長時間労働やパワハラが無関係とも言えないでしょう。

特に、月80時間超える時間外労働は「過労死」との因果関係が出てくるため注意が必要です。

行政では、過労死について仕事との関連性が高いかどうかを一定の判断基準を設けています。

・過労死の確認基準

発症前1ヶ月から6ヶ月にわたって、1ヶ月あたりおおむね45時間を超えた時間外労働があった場合⇒仕事との関連性が徐々に強まる

発症前1ヶ月間におおむね、100時間を超えた時間外労働または発症前2ヶ月から6ヶ月にわたって、1ヶ月あたりおおむね80時間を超えた時間外労働があった場合⇒仕事との関連性が強い

 長時間労働を抑制しつつ、生産効率を高めるための取組に注力することは簡単ではありませんが、「安全配慮」の面からも「労働生産性」の面からも大切なことです。

社長の労災事故に備えるには   [ 2013.10.11 ]

仕事中にケガなどをして労災保険が適用される場合には、本人が窓口で診察代を支払うことはありません。本人の自己負担額は0円になります。

しかし、労災であったとしても、相手のある交通事故の場合には、相手方の自賠責保険等から優先して請求することとなります。また、治療に必要のない差額ベット代のかかる部屋に入院した場合には、その部分は自己負担となります。

労災保険の対象は従業員ですので、経営者や取締役は対象となりません。つまり、社長が仕事中にケガをした場合は、労災保険は使えないことになります。また、仕事中のケガですので、健康保険も使うことが出来ません。全額自己負担をしなければならないことになってしまいます。

 しかし、中小企業では社長もプレイヤーとして現場で働いていることが多いため、仕事中のケガや病気について全額自己負担では社長がかわいそうだということで、下記2つの条件に当てはまる場合は、仕事中のケガであっても健康保険を使うことが出来ます。

健康保険の被保険者数が5人未満の事業所に所属している

通常の従業員と変わらない仕事をしている

なお、この場合には、「傷病手当金」の請求は出来ないので、注意が必要です。傷病手当金とは、健康保険から支給される休業中の所得補償です。連続3日以上休業した場合、4日目から標準報酬日額の3分の2が支給されます。

因みに、通常労災保険の対象とならない人が労災保険に加入できる、「特別加入」という制度があります。特別加入することが出来るのは、以下の方です。

前提:

労働保険事務組合に労働保険事務を委託している会社であること

対象者:

中小事業主とその従事者(常時300人以下の労働者を使用)

一人親方その他の自営業者とその事業に従事する者(従業員を雇わずに仕事をしている)

特定作業従事者

海外派遣者

仕事中のケガや病気に見舞われてしまう可能性の高い方は、労働保険事務組合への委託をし、特別加入を検討するのもよいでしょう。

休職制度についての解説と注意点   [ 2013.10.08 ]

従業員が私傷病(つまり仕事以外の理由)で長期の欠勤しなければならないとき、会社の休職制度を利用することになります。

ところが、休職制度は、法律上必ず制度化しなくてはいけないものではありません

解雇規制が厳しい日本においては、従業員が長期の休養が必要となったとき、復職できるまで安心して休んでもらえるように会社が「恩恵的に定める制度」として機能しています。

休職制度が法律上の義務でないため、休職期間や休職中の賃金についてどのように決めても会社の自由ですが、多くは就業規則にてその条件を定めることになります。いざ私傷病事案が発生したときに対応に困らないよう、事前に取り決めを行うことをお勧めします

一般的な休職期間

中小企業で概ね1~3ヶ月程度、大手企業だと勤続年数によっては数年に及ぶ休職期間を定めることもあります。中小企業の現場の場合、例外的に休職期間の延長を認める可能性を残しつつ、1~3ヶ月程度の休職期間を定めているところが多いでしょう。従業員を休職させるとなった場合、トラブル防止のため、休職期間、休職満了時の取り扱い、そのほかの約束ごとを書面にて交わしておくとよいでしょう。

休職中の社会保険料・住民税等

従業員が休職して、給与の支払いがゼロになったとしても、健康保険料と厚生年金保険料の会社負担分、従業員負担分はともに発生します。

休職期間中は従業員負担分を会社が立て替えておき、復職したら従業員負担分を請求するか、それとも社会保険料の納付時期にあわせて毎月決まった日にひと月ごと従業員に請求するか事前に決めましょう

また、住民税を毎月の給与から控除している場合も社会保険料と同じく、どのように徴収するかを決めましょう。

休職の決定権はどこにあるか

休職とは「療養が必要な状況だから、休みなさい」と会社が「命令」して初めて機能するように定めておくほうがよいでしょう。なぜなら、無理をして勤務する従業員に対しても、会社の安全配慮義務から休職を命ずる必要があるからです。また逆に、本人が休職の申し出をしても、その症状から会社側が休職を認められない軽微なケースもあり、休職するか否かのコントロールを会社ができたほうが柔軟な対応が出来ます。

休職期間中の従業員への接し方

休職期間中は、従業員からの病状報告を受けるだけではなく、社内報を送付したり、会社の状況をお知らせしてあげると、本人は会社からの疎外感を感じずに復帰しやすくなるでしょう。

職場のパワーハラスメント対策ハンドブックが作成されました   [ 2013.10.05 ]

厚労省の9月27日の発表によりますと職場のパワーハラスメントの予防・解決に向けた取組を推進するため、企業の取組の好事例などを紹介した「職場のパワーハラスメント対策ハンドブック」が作成されました。このハンドブックのダウンロードのURLは次のものです。

http://www.no-pawahara.mhlw.go.jp/download.html

 ハンドブックは、40頁程度で、ここでは製造業や建設業、社会福祉施設など様々な業種、全17社の取組の好事例を紹介しているほか、就業規則の規定例などを掲載しています。ハンドブックは、取組に着手していない企業はもちろん、すでに取組を行っている企業でも活用できる内容となっています。

  

職場のパワーハラスメントについては、この問題の予防・解決に向けた取組を行っている企業が約半数にとどまるなど、取組が遅れている企業が多く存在するといった課題が明らかとなっています。また、職場のパワーハラスメントなどによる若者の「使い捨て」が疑われる企業が、社会で大きな問題となっています。 ご一読されてはと思います。 

時間単位の有給休暇   [ 2013.10.03 ]

有給休暇は1日単位でしか与えられないかというと、そうではありません。

時間単位の有給休暇は、労使協定を結べば導入することが可能です。労使協定には、以下の内容を取り決める必要があります。

①    対象者の範囲

②    時間単位の有給を取得できる日数

③    時間単位の有給休暇の1日分の時間数

④    1時間以外を単位にする場合は、その時間数

注意点

時間単位での有給休暇には、いくつか制限があります。

まず、 ②の取得日数は5日分が限度となっています。なぜなら、有給休暇はリフレッシュするために1日で消化することが原則だからです。前年の繰り越し分があったとしても、繰り越し分を含めて5日以内となります。

また、最小単位は1時間となっており、分単位の支給は認められません

さらに、時間単位の計画的付与はできません。従業員からの「支障があるため時間を変更してほしい」という時季変更権は行使できます。しかし、会社からの「〇日の〇時から3時間支給します」という計画的付与は認められません。

時間単位にする場合、1時間分の給与は下記のいずれかを所定労働時間で割った額となります。標準報酬日額とする場合は、労使協定が必要となります。

①    平均賃金

②    所定労働時間に働いた場合に支払う通常の給与

③    標準報酬日額

時間単位の有給休暇は、有給をなかなか消化できない従業員には良い方法です。しかし、会社はそれを無理に導入しなければいけないわけではありません。

労働者の便宜を図る意味で導入するのはよいですが、その分管理が煩雑になるので、よく検討してから導入してください。。

他の店舗へ転勤させるときの注意点   [ 2013.10.01 ]

転勤を命令するときには、本人の同意が必要なのでしょうか。

一般に、就業規則に転勤の旨の記載があり、社員に周知されていれば、個別の同意は不要です。そのため、会社は一方的に転勤を命じたとしても問題ありません。なお、入社時の労働条件明示(契約書などの取り交わし)の際に転勤の可能性を明示すると、トラブル防止になるでしょう。書面交付の際には、「絶対に転勤がない」という場合以外は、原則として「転勤の可能性あり」と明示したほうが無難だと思います。

上記のように、転勤命令は、原則として一方的に命じることが出来ます。しかし、例外として次にあげるケースでは同意が必要とされます。同意なく行った場合は、権利濫用として無効になる場合があります。

①  業務上の必要性が存在しない場合

②  業務上の必要性以外の不当な動機、目的をもってなされた場合

③  社員に対し、限度を超える著しい不利益を負わせる場合

④  労働契約において勤務場所を特定して採用された社員に対し行う場合

例えば、勤務地限定の社員に行う場合、業務上の必要性があったとしても本人の同意がなければ転勤はさせられません。

では、勤務地限定の契約書でない場合はどうでしょうか。この場合も、同意が必要となります。判断基準となるのは、就業規則に「転勤を命じる旨の規定があるかどうか」だからです。転勤の可能性を明示、説明することが重要です。記載例をあげますので、参考にしてみて下さい。

労働契約書への具体的な記載例

・場合により他社多店舗への転勤を命じる可能性があります。

・本労働契約は、勤務地を特定した契約ではなく、場合によって転勤を命じる可能性があります。

・勤務地は入社時点のものであり、人事異動によって、全国、海外を含めた支店への転勤を命じる可能性があります。

転勤はその対象者の生活環境を大きく変える可能性があります。その対象者だけでなく、周りの家族などの事情も考えて慎重に対応する必要があります。

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