人事労務情報

産前産後休業の解説   [ 2013.11.23 ]

産前産後の休業について

 産前産後の労働は、労働基準法で制限されています。

 出産前6週間(多胎妊娠の場合は14週間)は出産予定の女性社員が休業を請求してきた場合、就業させることは出来ません。しかし、女性が希望した場合には働かせることが出来ます。

出産後8週間、原則は社員からの請求の有無にかかわらず、働かせてはいけません。

しかし、出産後7~8週間に関しては、女性本人が請求した場合であって、医師が支障がないと認めた業務については、働かせることが出来ます。

 これらの規定は、主に母体保護の観点から定められています。

休業中の賃金について

産前産後の休業中に関しても「ノーワーク・ノーペイの原則」が適用されるため、給与の支払い義務はありません。しかし、強制的な休業にも関わらず、無給というのでは安心して出産することが出来ません。

健康保険からの給付について

 そのために、被保険者や家族の生活を保障し、安心して出産前後の休養ができるようにするために、健康保険から出産手当金が支給されます。出産手当金は、1日につき標準報酬日額の3分の2に相当する額が支されます。

※標準報酬日額=標準報酬月額÷30日

 また、出産・育児には多額の費用がかかるため、出産費用を行政などが負担してくれる制度があります。これを、出産一時金と言います。1児につき42万円が支給され、多胎児を出産された場合には、出産された胎児数分だけ支給されます。双生児の場合は、2人分が支給されることになります。

出産一時金は、病院窓口で支払うときに行政などの負担部分を差し引いて支払うのが原則ですが、病院によってはいったん従業員が全額負担し、後から負担分を受け取る場合もあります。出産予定の際には、病院がどちらの制度をとっているか、確認してもらうようにしましょう。

感染症にかかった社員の自宅待機中、給与を支払わなければならないか   [ 2013.11.18 ]

感染症に罹患した労働者等が無理をして出勤をすると、周りの人に伝染させてしまう恐れがあるため、労働安全衛生法、感染症法等により出勤を禁止する義務が定められています

この自宅待機を命じた場合の賃金について、場合によっては60%の給与保障(いわゆる休業手当)が必要となります。休業手当の支給の有無については「使用者の責に帰する事由」であるか否かによって判断されます。

休業手当の支払い義務がない場合

・感染症にかかっているかどうか不明な時点で、何らかの症状があるため、社員自ら休む場合

・医師や保健所の指導により、社員が休業する場合

・家族が感染症に感染している社員について、濃厚接触者であることにより、保健所による協力要請等にも基づき、社員を休業させる場合

休業手当の支払い義務がある場合

・医師や、保健所による協力要請の範囲を超えて休業させる場合。(外出自粛期間後等)

・医師や保健所からの協力要請がない段階で、使用者の自主的判断で休業させる場合

上記のように、医師や保健所の指導の範囲で休場させる場合には、「使用者の責に帰する事由」ではありませんので、休業手当の支払いは不要です。

しかし、家族が感染し(かつ労働者本人が感染していない)場合に、保健所の指導が速やかに行われるとは限りません。このような場合には、会社独自の自主的な判断が必要になります。

無難な判断は「休業手当を支払う」か「有給休暇として取り扱う」ですが、感染症の種類によっても取り扱いが異なるでしょう。

職場環境の評価で重視されている項目は?   [ 2013.11.16 ]

ご存知の方も多いと思いますが、日本経済新聞社の「人を活かす会社 2013」のランキングが発表されました。ここでは、同時に発表された「ビジネスパーソン調査」の結果をお知らせします。

10位までのものを下表にまとめてあります。なお、( )内は、昨年の順位です。

今年は「休暇の取りやすさ」が1位で、制度よりも その制度が活かせる環境であることが求められています。つまり、既存制度の運用状況が評価で重視されているようです。

ビジネスパーソン調査で「非常に重視する」と答えた人の構成比

1(2)

休暇の取りやすさ

48.05

2(1)

労働時間の適正さ

42.42

3(―)

労働災害の予防・ケアの確立

35.21

4(13)

セクハラ・パワハラを防ぐための対策の有無

34.91

5(―)

雇用の維持

34.61

6(―)

メンタルヘルス不調の予防とケア

34.46

(―)

メンタルヘルスに関しての報告・連絡体制の整備

34.46

8(3)

社員の勤続年数の長さ

31.91

9(20)

休職後の早期復帰を支援する施策の有無

31.83

10(―)

残業が常態化していない

31.76

ビジネスパーソン調査の傾向

◆休暇の取りやすさを求める声が最多

2013年の「ビジネスパーソン調査」の結果では、「働きやすい会社」の条件として重視する制度や取り組みで「非常に重視する」との回答が最多だったのが「休暇の取りやすさ」(48.05%)で「労働時間の適正さ」(42.42%)が続く結果となりました。「労働時間を短縮する施策の有無」(24.2%)は22位に留まっており、制度があっても実態が伴っていない企業が多く、実態が伴っているかどうかがビジネスパーソンに重視されているといえます。

◆ 育児・介護サポートへの関心

10~20位に関しては、11位の「育児休業制度の利用しやすい環境」(30.86%)、12位の「乳幼児を抱えても仕事を継続しやすい環境」(28.75%)、13位の「子供が就学後も仕事を継続しやすい環境」(28.15%)、14位の「育児看護休暇を取得しやすい環境」(27.55%)、18位の「介護休業制度を利用しやすい環境」(25.30%)、20位の「育児フレックスタイム制度の有無」(24.70%)と、10位以降では育児・介護に取り組みやすい環境が多く求められています。

個人的に着目しているのは、18位の「介護休業制度を利用しやすい環境」の伸びです。従来も育児関係のものは、出てきていましたが、介護関係がここにきて増加しています。

度々、述べておりますが、次のことから、企業としても何らかの対策を打っておく必要があります

①介護で一時的な職場離脱(休暇)を選択せざるを得ないのは働き盛りの従業員である

②平成20年以降、ベビーブーマーが介護の対象となる。

◆ 労務トラブルの防止への注目

「セクハラ・パワハラを防ぐための対策の有無」(34.91%)が4位になり、「労働災害の予防・ケアの確立」(35.21%)、「メンタルヘルス不調の予防とケア」(34.46%)、「メンタルヘルスに関しての報告・連絡体制の整備」(34.46%)が昨年度に比べて新たに登場するなど、労務トラブル防止や対策を求める声も多くなっています。

労基署の臨検で法令違反が発覚したときに起こること   [ 2013.11.15 ]

調査の結果、違反などがあった場合、労働基準監督官は会社に対して、それを是正するように指導します。即刻改めるべきものもありますし、数か月猶予をもって正すようにと言われるものもあります。

何かしらの法令違反があった場合、具体的には下記の3つの書面を渡されます

 

1.是正勧告書

労働基準法等の違反が見つかった場合、その違反事項を正すように指導する書面

是正勧告書を受けたということは、労働基準法などの違反があったという証拠です。

違反した項目、是正期日が書かれているもので、正式に法違反を証明されたものと言えます。

必ず指定された日付までに違反していた項目を正して、是正した状況を労働基準監督署へ報告しましょう。

報告は「是正報告書」という様式を用いますが、必要な内容(タイトル、管轄監督署長宛である旨、日付、社名・代表者名と代表社印、各是正勧告内容と、各是正日、是正内容等)が記載されていれば任意様式でも大丈夫です。

その是正報告書に是正内容がわかる確認資料を添付して提出してください。 

2.指導票

法違反には該当しないけれど改善した方が好ましい事項に対して、改善を指示する書面です。

例えば、有給休暇の管理内容が十分でない場合などが指導対象にあたります。

3.使用停止等命令書

施設や設備の不備や不具合で、従業員に緊迫した危険が生じてしまうため、その施設や設備を緊急に使用停止などするようにと命令する書面です。

是正勧告書を無視したり、提出したけれど是正した振りをする「嘘」の報告をすると、最悪の場合書類送検されてしまうこともあります。

指導されたことに対しては誠実に対応しましょう。

必ず会社に保管しておかなければならない労基法上の帳簿とは   [ 2013.11.11 ]

【法定帳簿とは】

労働基準法上、会社に必ず備えておかなければならない書類があります。これを法定帳簿と言います。

法定帳簿とは特に

①労働者名簿

②賃金台帳

③出勤簿(タイムカードなど)

この3つをいいます。

労働基準法で、どんな規模の会社であっても作成することが義務付けられている書類です。

法定帳簿は、その終了の日から3年間会社で保存しなければいけません。

※終了の日とは、退職日や死亡の日等を指します。

では、それぞれの書類にはどんな内容が記載されている必要があるでしょうか。

【法定3帳簿に記載されているべき内容】

労働者名簿には、労働者の

  1. 氏名
  2. 性別
  3. 生年月日
  4. 住所
  5. 履歴
  6. 雇用した年月日
  7. 退職した場合、退職年月日とその事由

が記載されていなければなりません。

賃金台帳には、給与支払いの都度(つまり毎月の給与を支払う度に)、労働日、労働時間(残業時間等を含む)、給与や天引き額などを記載します。

賃金台帳には、この「労働日」「労働時間」の記載が漏れていることが多く、これが労基署の臨検の際に是正を受けやすい事項ですので注意しましょう。

出勤簿とは、従業員の働いた日数、働いた時間、時間外労働等を把握するために作成します。単に出勤印のみを押印するだけでは、始業・終業の時刻が明確でない為、臨検の際には是正指導を受けてしまいます。

【それ以外の書類の保存期間】

法定帳簿以外も、一定期間保存します。

退職金に関わる書類                  5年間

雇用保険の資格得喪に関する書類         退職日から4年間、できれば7年間

労働保険のお金に関する書類や労災保険に関する書類    3年間

健康診断個人票                     5年間

自社で必要な書類が備え付けられているか、今一度確認してみましょう。

 

社員の副業を禁止してよいか   [ 2013.11.09 ]

副業については、法律の制限はありません。つまり会社が許せば社員が副業を行うことができます。しかし、社員は労務を提供することで給与をもらっている以上、健康に注意して良質な労働力を提供する義務があり、良質な労働力の提供の邪魔になるような副業は、会社の判断で禁止することも出来ます

副業を禁止する場合、就業規則の服務規定にその旨の文言を明記しましょう。服務規定に入れておくべき内容は以下の通りです。

・健康に留意して、良質な心身状態で勤務するように努めること

・会社の機密、不利益事項を他に漏らさないこと

・会社の許可なく他社の役員、従業員又は個人事業主となり、営利を目的とする業務を行わないこと

・会社の許可なくアルバイトなどをしないこと。ここでいうアルバイトとは、営業上の技術を使用して個人的に報酬を得る行為を含む

ペナルティーについて:

副業が発覚した場合、懲戒処分を行うかについては、次の項目から判断します。

①    副業を行うことで、本業にどのくらいの影響が出ているか

②    競業他社での副業かどうか

③    副業により、自社の秘密漏漏洩の危険性があるか

アルバイト等副業行為とあまりに釣り合わないペナルティーをしないように注意する必要があります。懲戒解雇が有効となるような副業行為は、背任的に自社のノウハウを漏えいさせている場合や、競業行為を意図的に行うような悪質なものに限られるでしょう。 

副業を許可制や禁止にしている場合は、パートや短時間勤務者について、配慮が必要となります。これらの社員は、他社に勤務している確率も上がります。また、正社員とは違い空き時間を有効活用しているにすぎず、正社員の副業とは解釈が変わってきます。

正社員の副業とは違った基準で、ある程度副業を認めてあげる配慮が必要になります。

遅刻が頻繁にある社員への対処   [ 2013.11.05 ]

口頭注意をしても、遅刻が改善されない場合は、書面通知で改善指導を行いましょう。即座に解雇するとトラブルにつながります。トラブルを防止するために、処分を行う場合には、手順をふむことが大切です。

①    口頭注意=戒告、譴責

遅刻をした場合には、その都度注意をし、改善するように伝えましょう。遅刻を繰り返す社員をそのままにしておくと、本人だけでなく他の社員にも悪影響を与えます。

注意をした日付をメモで構わないので記録しておいてください。

②    書面による改善指導

口頭注意だけで改善が見られない場合、「始末書の提出」「業務改善指導書」「承諾書」のような書面で厳格に対応することで、社員の意識向上が望めます。

書面の中の重要な要素としては、次のものです。

・遅刻の事実を本人に認めさせること

・改善のためにどのようなことをするかを宣言させること

・日付、誰から誰に提出したものかを明らかにすること

文書を残すことで改善されなかった場合に、会社が改善の努力をしたという証明になります。

 

③    減給・降給

書面でも改善しない場合、減給や降格へ進むこともできます

ただし、減給には、1回の額が平均賃金の1日分の半額、総額の1賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならないという制限があります。減給を行う場合は、制限を超えない範囲で行いましょう。

④    退職勧奨、普通解雇(懲戒解雇)

それでも改善しない場合、「改善のために会社は指導教育を尽くしたけれど直らなかった」ということで退職勧奨や解雇も検討しなければならないかもしれません。

ただし、解雇は最終的な手段です。遅刻を繰り返すという理由だけで、いきなり解雇することは相当に難しいと考えましょう。

いずれにせよ、上記のような手順をしっかり踏んだうえでの段階的対応が重要です。

労働基準監督官の持っている権限   [ 2013.11.02 ]

労働基準監督署にいる労働基準監督官は、いわば労働に関する法律の番人で、法により多くの権限を持たされています。

労働基準監督官の権限

1、 強制的に会社に立ち入り、調査することができる権限

2、 帳簿書類証拠物件などの提出を要求することができる権限

3、 会社や従業員に尋問・報告命令・出頭命令をすることができる権限

4、 会社の付属寄宿舎に使用停止、変更など処分することができる権限

さらに労働基準監督官は、次の法律については、司法警察官として、逮捕、送検をする権限もあります。

労働基準監督官が司法警察権を持っている法律は次のようなものです。

1、 労働基準法

2、 最低賃金法

3、 家内労働法

4、 労働安全衛生法

5、 作業環境測定法

6、 じん肺法

7、 賃金の支払の確保などに関する法律

労働基準監督官が会社を調査する場合には、警察が家宅捜査するときのように裁判所の許可も必要ありません。アポイントなしで急に調査することもできます。税務署の税務調査官には強制捜査権がないことと比較すると、労働基準監督官は相当強い権限をもっているといえます。

もちろん多くの場合は事前に書面などで連絡があって、調査日を決めてから調査されますが、前述の通り突然会社に労働基準監督官が訪れることもあります。これは、アポイントをしたうえでの調査では労務管理の真の姿が見えない、会社にとって不都合な事実を隠ぺいされることを防ぐためです。

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