人事労務情報

出産・育児に関する 給付、手続きのまとめ   [ 2016.10.31 ]

妊娠、出産、育児という社員のイベントについて、雇用保険や社会保険上もらえる給付と必要な手続き、法律上の決まりごとについてまとめて解説します。

はじめに

社員の妊娠、出産、育児というイベントについて、雇用保険や社会保険上の給付が受けられます。その他会社が提出しなければならない書類もありますが、その全体像が体系的に理解されていない現状があります。

以下、出産育児に関する給付と手続き、法律上の決まりごとについて解説します。

1.給付

① 出産手当金

(協会けんぽまたは健康保険組合に入っている人のみ)

まず、出産日(出産が予定日より後になった場合は、出産予定日)以前42日(多胎妊娠の場合は98日)から出産日の翌日以降56日までの範囲内で、会社を休み、給与の支払いがなかった期間を対象として「休業中の生活を保障するものとして」出産手当金が支給されます。

出産手当金は、1日につき、標準報酬日額(標準報酬月額÷30日)の3分の2に相当する金額が支払われます。

②出産育児一時金

(国民健康保険加入者や被扶養者も対象)

被保険者及びその被扶養者が出産した時に協会けんぽまたは健康保険組合等へ申請すると1児につき42万円が支給されます。(産科医療補償制度に加入されていない医療機関等で出産した場合は39万円(平成27年1月1日以降の出産は40.4万円)となります。) 申請は原則として本人が医療機関を通じて行います。

③育児休業給付金(雇用保険加入者が対象)

育児休業給付金は、雇用保険を原則として1年以上かけた被保険者が、1歳又は1歳2ヶ月(支給対象期間の延長に該当する場合は1歳6ヶ月)未満の子を養育するために育児休業を取得し、給与が支払われなかった場合に、休業中の生活を保障するものして支給されます。金額は、当初6ヶ月は給与の約2/3、その後子が1歳になるまでは約1/2が支給されます。

2. 手続き

出産育児については前述の給付の他、扶養加入、社会保険料免除などの恩恵が受けられます。以下の手続きを行う必要があります。

必要な申請

内容

出生児の扶養異動

出生児の扶養加入

産前産後休業期間中の保険料免除

産前42日前~産後56日期間は申請により社会保険料が免除されます。

育休期間の社会保険料免除

産後57日~子1歳までは申請により社会保険料が免除されます。

育休期間の社会保険料免除終了

育休期間から復帰したら保険料免除は終了するため届け出が必要です。

標準報酬月額の特例適用の申出

3歳未満の子を養育する期間中の標準報酬が養育を始めた月の前月と比べて低下した期間は将来受け取る年金額に関して従前の標準報酬で計算されます。

育休終了時の月額変更

育休から復帰した後の給与額に合わせて社会保険の等級を修正できます。

    

 

    

 

    

 

  

   

 

健康診断の費用負担とその間の賃金の取扱い   [ 2016.10.09 ]

会社は、常時使用する労働者に対し、健康診断を実施する義務を負っています。パートやアルバイトなどの雇用形態によらず、この条件に当てはまる場合は、受診させなくてはなりません

健康診断には大きく分けて一般健康診断特殊健康診断があります。

一般健康診断とは、職種に関係なく、労働者の雇入れ時と、雇入れ後1年以内ごとに一回、定期的に行う健康診断です。

特殊健康診断とは、法定の有害業務に従事する労働者が受ける健康診断です。

 

労働者にとっても、健康診断を受けることは、労働者自身の権利ではなく義務といえます。

 

では、健康診断にかかる費用は、労使のどちらが負担すべきなのでしょうか。行政通達によれば、「健康診断の費用については法で事業者に健康診断の実施の義務を課している以上、当然会社が負担すべきもの」と解釈されています。また、ここでいう費用には、労働者が健診の医療機関へ移動する交通費も含まれると考えられています。

 

 

受診する間の賃金についても、整理しておきましょう。

 

定期健康診断は、通常の業務とは関係なく受けるものですから、その間は労働していないと考えられます。よって、その間の賃金について払わない、あるいは有給休暇扱いとすることは違法ではありません。ただし、円滑な受診を目指すことを考えれば、受診に要した時間の賃金を事業者が支払うことが望ましいでしょう。

 

一方、特殊健康診断は業務の遂行に関して、労働者の健康確保のため当然に実施しなければならない健康診断です。特殊健康診断の受診に要した時間は、労働時間であり、賃金の支払いが必要とされています。注意しましょう。 

話題の確定拠出年金とは何?   [ 2016.10.07 ]

巷で確定拠出年金が話題になっています。そもそも確定拠出年金とは何か、今後どのような法改正が予定されているかについて説明します。

    

はじめに

巷で「確定拠出年金」という言葉を聞くことが多くなってきました。来年の1月から法改正が行われ、老後資金を積み立てる選択肢の幅が広がることになりますが、そもそも中小企業では確定拠出年金制度そのものに馴染みがなく、メリットが理解されていません。以下、確定拠出年金制度の概要を説明し、今回の法改正内容についても紹介します。

 

基本

確定拠出年金をひとことで表現するならば、「掛けている本人が掛け金額及び運用方法を決めることができる年金」です。掛け金は個人ごとに明確に区分して積み立てられ、本人の運用方法次第で将来の年金給付が増えたり減ったりします。対照的なものは公的年金(国民年金・厚生年金)で、こちらは「掛け金額や運用方法を選べない年金」ですが、そのかわり将来の年金給付の計算方法が決められていることが特徴です。

 

現行の法律では、老後などのための資産形成は①強制加入の公的年金を土台にして、 ②企業又は個人の任意で確定拠出型年金などを上乗せして掛けるという構造になっています。

確定拠出年金のタイプ

確定拠出年金には「企業型」と「個人型」という2つのタイプがあります。企業型の場合、導入は会社が決めるもので、現在は社員が自分の意思で加入することはできません。掛け金は原則として全額会社が負担しますが、一部本人が拠出できる場合もあります。一方で個人型とは、①20歳から60歳までの個人事業主など②会社が企業型年金を導入していない会社の60歳未満の社員などを対象としたものです。

確定拠出年金のメリット

確定拠出年金(特に個人型)の大きなメリットは「税制面の優遇措置」です。掛け金として拠出した金額が「全額」所得控除となり、課税所得が減額されます。言い換えると、確定申告の際に全額が経費扱いになります。民間の生命保険などの保険料は一部しか損金扱いにならないことを考えると税制面でのメリットは大きいでしょう。

また、運用に対する利益に対しても非課税となり、給付を受ける際にも、年金として受ける場合は公的年金等控除が適用され、一時金として受ける場合は、退職所得として税制上の優遇措置が取られています。

 

注目の改正内容

平成29年1月より、特に個人型について以下の改正点が注目されています。

個人型確定拠出年金の加入可能範囲の拡大【施行日:平成29年1月1日】 

これまで個人型確定拠出年金に加入することができなかった以下の者について、個人型への加入ができるようになります。

①確定拠出年金以外の企業年金の加入者

②公務員等の共済加入者

③第3号被保険者(専業主婦等) 

また、すでに企業型確定拠出年金を実施している企業に勤めている場合でも、規約に定めることにより個人型確定拠出年金にも併用加入することが可能となります。その他、異なる制度間での資産の持ち運び制度や、中小企業向けの新制度創設、掛け金の年単位拠出などについても改正され、確定拠出年金の導入ハードルが下がりました。確定拠出年金は、掛け金が本人の積み立てとして確定するため、資産形成の際にわかりやすさがあります。これから社員の福利厚生を検討する場合、税制面でもよい選択肢となるでしょう。

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